14-07 イベント会場
薫は亜佐美など同級生30人を連れてガーディアン・レディ・イベント会場に来ていた。本当は亜佐美だけの予定だったが、叔父さんが整理券を余分にくれたので、他の人も連れてきた。亜佐美が他の人を誘ったが一岡彩夏目当ての男女数百人が殺到したので結局ジャンケンで決めてしまった。
「江藤、ホントにありがとなあ。俺、彩夏チャンをこの目で見たかったのよ」と同級生の男子生徒に感謝されたが、この場に来ても嫌だった。それは彩夏が嫌というだけでなく機械娘のような姿をしたパワードスーツを見たくなかった。自分の自我が機械のプログラムに過ぎなかったからだ。
「広岡プロデューサー、未だに私の共演者が決まらないというのはどういうことなのよ? 私の機ぐるみが完成しているのに他のメンバー三人が決まっていないの」
この日、一岡彩夏はご機嫌斜めだった。一般社会の評判と違い芸能界では彼女と共演したがる女優が少なかった。その彼女の何かと難しい性格が理由だった。ガーディアン・レディ4人のうち、彩夏はリーダーのレッドであったが、彼女と一緒にしていく自信がないと敬遠されていた。そのため残りのメンバーを演じてくれる女優を秘密裏に探していた。
「四人のうちあなた以外の緑と黒はもう直ぐ決まります。でも青だけはまだです。あんなドジで駄目な眼鏡娘という設定じゃ、誰もやりたからないです。あんまりにも印象が強すぎると他の役が出来なくなるなど、キャリアにマイナスだという事を言われたのです。もう少し探してみますから」
「じゃあ、一層のこと素人を使いなさい! 素人なら私の裏の評判も知らないし、キャリアもクソもありませんわ。新人ならすぐ消えても問題ないでしょ! それじゃ、今日眼鏡をかけている女子校生をスカウトすればいいじゃないのよ」
「そういいますけど、彩夏さん・・・まあ、今日のところはわたしが良さそうな子がいないか見ておきますので、あなたはステージを盛り上げてください」
広岡はブツブツといって歩いていた。いくらなんでも観客からスカウトできないかをみておかないといけないのか、無茶だよ全く、などの不平不満を発散させていた。
「どうせ、彼女のことだ。これから眼鏡娘を集めてこの中から選びますといえば納得するだろう。イベントが終わる前にアナウンスして集めてやろう」
「今日はイベントに来てくれてみんなありがとうございます」と彩夏の挨拶ではじまったイベントは、彼女の歌や踊りを披露した後、ガーディアン・レディのパワードスーツが舞台に上がってきた。この時のパワードスーツを着用していたのは、サイバーテック・ロイドの技術部女性社員であった。
そのため男性社員がそれぞれのスーツの性能などを説明したうえで、舞台上を所狭しと動き回るパフォーマンスをしていた。この様子を薫は表面上は他の子と同じように楽しげに見ていたが、内心つまらないと思っていた。事前に叔父さんから何かの参考にしてとアーカイブにイベント内容をダウンロードしてくれたからだ。だから何が起きるのかが判っていたからだ。
その後も彩夏中心のイベントが続いて、いよいよ佳境となる前に突如、広岡が出てきた。
「今日お越しのお客様で二十歳未満で眼鏡をかけた女性の皆さん。舞台の上に上がってみませんか? 希望の方がおられましたら三番ゲート前に来てください」とアナウンスがあった。




