14-06 劇場版ガーディアン・レディ
劇場版「ガーディアン・レディ」は、元々一岡彩夏主演のSF映画という構想にサイバーテック・グループの創設25周年記念事業として協力することになっていた。これはサイバーテック全体の評価が芳しくなかったからだ。
”奴ら”との戦いで世界各地に投入されたパワードスーツや戦闘用パワーローターの四割を生産し、そのほかの後方支援活動に協力したことや、大戦の影響で経営難に陥った企業を救済するなどしたため企業全体が巨大化していた。
一方で急激な成長のひずみも出ており、各国政府との癒着や経営破綻した企業の買収の不透明な点があるなど問題点が指摘されていた。そのため、グループ全体のイメージアップの一環として、サイバーテック・ロイドの主力製品のひとつ、パワードスーツに特化した劇場版映画を実写で作ることになった。
もっとも、現在ではCG技術が飛躍的進歩を遂げているので、個人であっても才能と時間と予算があれば大作映画の製作は充分可能であった。もし許諾ないし権利切れがあれば、かつての名優が総出演した映画だって夢ではなかった。
その御時勢にもかかわらず、生身の俳優にパワードスーツを着せてドラマをするのは、ある意味時代の先端だが、その製作手法は古臭かった。もっとも以前に比べ華奢な女性が着用して戦闘に耐えれるパワードスーツが実用化されているので、技術力をアピールする狙いもあった。
「会長。サヤカのパワードスーツの試作機が完成しました。後は本人に着用してもらって微調整してもらいます。一応機体は本人着用用、スタンド用、バックアップ用の三体用意しました。他のメンバーであるエリカ、ミドリ、サヤカについても製作は順調です。ただ、着用する女優が決まっていません」
今回のガーディアン・レディ計画担当の太田垣副技師長は江藤会長に報告していた。サヤカ用は問題なかったが、着用者が決まっていない機体についてある程度余裕を持って製作しないといけない苦労があった。
「今回のスーツですが、オリジナルデザインを踏襲して着用しやすいように、原子炉解体用スーツの設計を流用しました。またオリジナルのように重火器や刀剣も内蔵しているようにしていますが、重火器については重火器の使用許可が降りないという理由で強度は軽減しています。その分人工筋肉組織を増強していますのでパワフルでスピーディーなアクションに向いています。試作段階では高さ20メートルから飛び降りても衝撃を問題なく吸収したというデータも出ています」
太田垣からの報告に江藤会長は満足していた。最初に作ったパワードスーツの試作機はガーディアン・レディのサヤカ・バージョンだったが、あの時は権利保持者の許諾を得ていなかったのでコスプレの機ぐるみといっていた。このたび、自分の手で新作が作られることが嬉しかった。
「太田垣くん、ごくろうさま。ところで女優選定について連絡はないのか? クランクインまで三ヶ月切っているだろ。サヤカ以外の選定を急ぐようにいいたまえ。そうそうオリジナルに負けずとも劣らないぐらい美少女でなくてもいいから、いい娘を選びなさいと伝えてくれ」
この時、江藤会長はかつて妻や娘、その従姉妹や友人までをパワードスーツの被験者にしていたことを思い出していた。特に香織と妻は事業が大成功した矢先に戦争でなくしたので気に病んでいた。その時、孫娘の薫のことが気になった。まさか自分を出してくれなんて言ってこないだろかと。




