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親知らず

「親知らずを抜きましょう」

歯医者さんからそう言われた時、とうとうこの時がやって来たか……と思った。

と言うのも、兄弟や友達が親知らずを抜いたという話を聞くたび、自分もいつか、今は姿が見えぬ、親知らずの痛みに悩ませられる日が来るであろうと考えていたからだ。

痛むのは1本だけだったが、

「せっかくなので、全部抜いちゃいましょう」

という歯医者さんの見解で、計3本の親知らずを抜くことになった私は、県立病院を紹介され、そこで歯を抜くことになった。

1本目と2本目は大して痛くは無かったが、3本目はそうはいかなかった。

麻酔は十分効いていたのだが、神経が近いらしく、歯を抜く間ジンジン痛んだ。

「痛かったら手を上げてくださいね。」

よく歯医者さんで聞く言葉だが、実際手を挙げたことが無かった私は、

ここで初めて手をあげた。

痛さが尋常では無かったのだ!

下アゴがビリビリ痺れるような感覚があり、思わず

「痛い!痛い!」と手を上げまくってしまった。


あまりに痛かったので、抜いた歯を持って帰って痛めつけてやろうかと思ったが、抜けた親知らずを見せられ、あまりにグロテスクだったので、その気が失せてしまった。

衛生士さんから

「ななくささんは、我慢強いですね。」

と言われたので、もっと手を上げてよかったのかな?と若干後悔した。


次の日、親知らずがあった頬は見事に腫れあがり、会社の人から

「何?あめ玉食べてるの?」

と笑われる始末だ。

虫歯などでまた、歯を抜くことが無いようにしたいものである。



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