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新たな拠点

短めです。

 扉が開かれた先には、坑道に入る前にいた場所と同じような森が広がっていた。

 しかし新エリアというだけあり、いままで見た事が無いモンスターを多く見かける。

 

 「ここが解放される前のワールドはほとんど全てまわったはずだが知らないモンスターも多いな。どんな奴がいるかわからないし気が抜けないぞ」

 

 辺りを見回しながらシュリが呟く。

 情報不足なため、慎重に足を進める。

 

 「これからどうする?恐らくこの地域のどこかにある魔物の根城を探すのが最終目的だとは思うんだが」

 

 シトロンが皆にこれからの方針を尋ねる。

 

 「とりあえず村か町をみつけようよ。そろそろ良い時間だし休める場所をみつけてログアウトしないと明日に響くよ」

 

 僕の意見に後の二人も賛成した。

 

 「おっし、じゃあ次の拠点を見つけたら今日は解散にするか」

 

 シトロンの言葉に頷いて新エリアの探索を開始する。

 

 「それにしても昔のエリアに比べてへんてこなモンスターが多いよね」

 

 先ほどから何度か遭遇しているモンスターを眺めながら舞花がそんなことをいう。

 確かに初期のエリアは現実の世界に存在する動物を模したモンスターが多かったが、今まわりにいるのは一つ目の巨大なカエルや三つ足のカラスなどファンタジー要素の強い敵が多い。

 

 「これも最近ここに住み着いてる魔物の影響、という設定なのかもしれないね」

 

 「あぁ、確かに。なんかモンスターに影響があるみたいな事NPCたちも言ってたしな。となるとやっぱり強くなってるんだろうな」

 

 今の所は向こうから攻撃してくる気配はないためスルーしているが、戦闘がおこった場合は面倒くさそうだ。

 最も、ここへの門番の役割をしていたあの人形を僕と舞花の二人で倒せたわけだし、シュリとシトロンが加わった今なら大きな問題は無いだろうけど。

 

 その後も、へんてこなモンスターを眺めながら観光気分で森を進んでいくと急に視界が開け、シュリが新しい町を発見する。

 

 「どうやらここが次の拠点の町らしいな。さて、さっさと向かおうか」


 先導するシュリについていき、目的地へと急ぐ。

 見えてきた町は、いままで僕たちが拠点としていた町の半分ほどの大きさで周りを大きな塀で囲まれていた。

 その様子は一軒砦のように見える。

 

 「やけにものものしい町だね」

 

 「全くだな、まるで要塞じゃねぇか。モンスター襲撃イベントとかやめてくれよ」

 

 シトロンが不穏なことを言う。

 だが実際にモンスターからの攻撃に備えているかのような様子の町だ。

 

 町にたどり着き、正門から中へ入る。

 外見の予想に反して、中は結構栄えているようで所々から人の声が聞こえてくる。

 どうやらすでにこの町へ到着しているプレイヤーも結構いるようで、町の至る所で情報交換をしていた。

 

 「やっと安全地帯についたー!」

 

 舞花が肩の荷がおりたというように大きく伸びをする。

 もしここに来る途中でモンスターに襲われて死んでしまうと元の町に逆戻りしてしまうので、少しだけ緊張していたのだ。


 「お疲れ皆。さて、私はここで君たちのパーティお別れかな。今日は楽しかったよ、また機会があったら一緒にあそんでくれ」

 

 シュリが僕たちから一歩離れる。

 

 「シュリさんはこれからも一緒に、ってわけにはいかないんですね」

 

 半ば予想はしていたが僕としては今の四人が結構気に入っていたので少し寂しい気もした。

 

 「あぁ、私は生産やってるほうが性にあってるんでな。しばらくこの町を拠点に活動するから、新アイテムを手に入れたら持ってきてくれよ」

 

 そう言ってぱちりとぼくらにウィンクをする。

 

 「なに、私の力が必要になったときは言ってくれればいつでも手を貸すさ。だがまずは君たち三人で新しい世界を思う存分楽しんでくると良い。私が加わるのはその後でも遅くないだろう」

 

 「そうだな、シュリ姉さんがいると遠距離から一方的に敵たおせちゃうし、まずは俺たちだけで戦闘にも慣れてかないといけねぇからな。今日はありがとうございましたシュリ姉さん」

 

 シトロンが頭を下げ、僕と舞花もそれにならう。

 

 「いや、ボス倒したのは君たち二人だしスケルトン相手には私はいまいち役に立たなかった気がするが……。まぁ何はともあれ私も楽しかったまたよろしくたのむよ」

 

 じゃあな、と僕たちに手を振りシュリがログアウトする。

 

 「さて、俺たちも解散にするか。ルート、明日は遅刻するなよ?」

 

 今朝の事を持ち出してシトロンがからかってくる。

 妙にイラッとしたのでフェリルをけしかけておいた。

 

 「よし、じゃあお疲れ皆!また明日学校でねっ」

 

 舞花が最後に締め、僕とフェリルに後頭部を噛み付かれたままのシトロンが頷く。

 

 「それじゃあまた明日。お疲れ二人とも」

 

 二人に手を振りログアウトボタンを押す。

 すでに何度目かになるがいまだに少し慣れない意識が暗闇に吸い込まれるような感覚に襲われ、僕は現実に戻っていった。

 

 

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