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夢のソウゾウ  作者:


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私の家はない

 私には家はない。つまり実家に住まわせてもらっている。よくある一軒家。家具は古くなり色あせている。エアコンはない。冬は寒く夏は暑い。

 朝は少しかための敷き布団で目覚める。「起きなさい。もう8時だよ。」ぜんっぜん起きれない。起きるといったんこたつで丸くなる。夏はもちろん扇風機の前を陣取る。頑張ってやる気を出して、口をゆすぐ。朝ご飯はカリッと焼いた食パンにキラキラのイチゴじゃむを塗る。運が良ければ母がスープを出してくれる。これも良い。優雅な朝と言える。

「今日は授業だ。速く帰ってこられるかな。お昼のお弁当、今日は何が入っているかな。その前に今日は何を着ていこう。」

ぐだぐだ考え事をしながらご飯を食べ終えるとやっと歯を磨いて顔を洗う。スキンケアはベタベタするのが嫌だが、ぶつぶつが出来るのはもっと嫌なのでいっぱい塗る。ぺたぺた。まだもうちょっと時間があるので、ごろごろ二度寝をしたいところだ。でも一度目が覚めると眠れない性分なのでとりあえず着替える。必ず4着は試着する。服はあるが着たい服がない。困った。大学に行くだけなんだからおしゃれでなくて良いと自分を納得させる。髪を整え、お化粧をする。リップを塗ってチークを塗ってコンシーラーでクマを隠すのを忘れた。きっとかわいい。ぺたんこのスニーカーを履いて、重たいリュックを持って「行ってきます。」「今日は夕飯いるの?」「うん!おねがいしまし!」「行ってきます!」

「ありがとう。」駅までお迎え。車で優雅に家まで帰る。「ただいま!」「おかえりなさい」必ず誰かが家にいる。嬉しい。家に帰るともう夕飯がある。魚とかお肉とか揚げ物とか丼物とか。準備しなくてもご飯がある。贅沢な夜。お風呂に入る。さむさむ。脱衣所で服を脱ぐこの瞬間が嫌いだ。順番が一番最後だからゆっくり出来る。追い炊きもしちゃおう。シャカシャカ歯も磨いて眠る準備は整った。夜はまだまだこれからだが、布団に入るとまぶたが落ちる。「おやすみ。」

 これはほとんど現実。こんな日常はしあわせなのか。満たされているのか。私にはまだわからない。

私の好きなアーティストはとっくに実家を出ている。自分で自由に使えるお金もたくさんある。大勢のファンに愛されている。一緒に夢に向かう仲間もいる。キラキラしている幸せそうだ。ほんの一握りの人間にしか味わえない幸せ。私はあんなに人に愛されることはあるのだろうか。私はこの家で離したくないと思えるほど大切ななにかが見つかることを願いながら今日を生きる。


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