水? お題が水で、コレは良いの?
夏のホラー2025投稿用。
生活の中に潜む、確かなホラー。
なおこの話でお題に沿ったホラーだなと認めてしまうと、何でもありになってしまうかも知れん。 大丈夫かな?
とある高校のすぐ近くの、民家の軒下で壁に寄りかかっている2人。
「あー、今日も疲れたー!」
「学校で疲れたし、なんか甘いもの食いてえ」
「いいなーそれ……そうだ、クラスで話題になった安くて美味い喫茶店行ってみよーぜ!」
「おう、そいつは良い。行こうぜ」
「行こー! ……っと、ちょっと待ってー。 動画サイトのアプデが来てるー。 アプリ更新っと」
この辺りでは無線LANかWi-Fiかは分からないが、無防備にも鍵をかけていないアクセスポイントがあって、そこを無断利用しているのだ。
彼ら男子2人は同じ高校に通う親友で、女子の一部に勘違いされる位にはいつもつるんでいる。
〜〜〜〜〜〜
「ここか?」
「そうだなー、名前も合ってるし」
「外観は古くてボロいな」
「でもそこが老舗ーって感じがして、期待できそー」
なんて言い合いながら、入店する。
「うわっ、聞いた通りに安ーい!」
「この値段なのに美味いってマジか……」
「赤字覚悟ーとか、趣味でやってまーすとかかな?」
「どうにしろ期待だな」
席に案内されてメニューを確認している2人。
メニューの安さに興奮しているが、お小遣いやバイト代程度の財力の学生なら、ここで興奮せずしてどこで興奮するのか。
「決めたー?」
「もちろん。 お前は?」
「オレも決めたー」
「店員を呼ぶのは……ボタンが無いから呼べってのか」
「今時なのに呼び出しボタンが無いなんて、極限までコストカットかなー?」
『すみませーん!』
〜〜〜〜〜〜
注文を店員に伝えた後の、空白の時間。
「あー、ここはフリーWi-Fiは無いんだー」
「店の安さからして、仕方ないだろ」
「まあねー。 でもこの待ち時間でいじってるスマホのデータ量が気になるのは、しょーがないよねー」
「まあな」
「親からスマホのプランは使いほーだいだけど、上限があってもデータ量次第で利用料が段階的に高くなるから、外ではぜってー節約しろよーって言われてるからねー」
「だよな」
若くて学生なのだ。 ちょっと時間があればスマホをいじってしまう、今時の若者なのだ。 しゃべっている間にも、スマホを触っている2人。
それなので、使用するデータ量はとんでもない事になる。
なるからこそ、こう言った場で気兼ね無く使えるように極力データ量を節約する。
家なら固定料金の無線LAN経由でネットが出来るから問題無いが、外ではそうじゃないのだ。
「…………おー、5分も無い短い動画だけど、コレ面白ーな。 なあなあ」
「……あん?」
どうやら動画サイトを見ていて、面白い動画を見つけたらしい。
それを伝えようと、もう片方の男子へ話の水を向けた瞬間。
〈〜♪〉
「あ゛ーーー!! 勝手に別の動画になったーー!! ……あ、自動再生をオフにしてたのに、なぜかオンになってる! なんでーーー!?」
「あるよなあ。 それで無駄にデータ量を使わせるんだ。 節約したい俺達には、恐い罠だよ。 あ、叫びたくなるのは分かるが、今は店だから静かにな?」
「はーい……」
自分のもつい最近動画サイトのアプリをアプデしたら、勝手に自動再生がオンにされていまして。
別動画から飛んだ動画で、もう一度同じ動画を再生しようとしていたのに流されちゃって、見直せなくなった悲しみは忘れない。
なお焦りから頭がいっぱいいっぱいになっていて、動画の再生履歴から見直せばいいのに、そんな考えも吹っ飛んでしまっていて動画を飛び回って探している内に履歴からは簡単に見つけられなくなってしまった模様。
怖いですよね。 データ量の節約をしたいのに、よりデータを使わせようとする世の中の流れ。
とりあえずお題と言う名のノルマである水を達成……?したし、データ量を勝手に使わされる恐怖を書いたのでホラー…………か? ホラーなのか? これ。
これで水のホラーと認めて良いのか?(錯乱)