表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

誰彼構わず、とはいかんのだ

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

本当に好きなものほど、誰にも言えないんですよ。

心の中で愛でる趣味があるんで。

彼女の好きなもの。珈琲、紅茶、喫茶店のケーキ。だから何時も行動を共にして、『好きにして良いよ?』と言うと、大抵純喫茶に連れ出してくれる。

連れて行くのは何時も違う店だった。どれも雰囲気があって、美味しいものを提供してくれる。

今日は珍しく、二度目の来店だった。真紅の明かりが灯る、隠れ家の様な店だった。彼女は何時もの様に珈琲とケーキを注文し、安心した様に肩を下ろした。

「お友達と行く時も、此処に連れて行くの?」

「いいえ。……そうね……うん。貴方が初めて」

少し視線を視線を泳がせて、歯切れ悪くそう言った。

友人と過ごしている時の彼女を遠くから見た事がある。明るく、無邪気で、従順な子だった。今の様な陰りのある女の側面はなかった。

後から彼女直々に話を聞いた限りだと、『お友達の前では従順で可愛い子でいるの。ずっと一緒に居るわけじゃないから、お愛想売れるのよ。彼氏には無理だけど。論外だけど』という返答が返ってきた。

「頼むものも違うよ。あの子達の前では珈琲は頼まない。カフェオレとか、若しくは紅茶。

苦いのあの子達、苦手だからさぁ。それなのに『飲んでみようかな』って無理、するからさ」

女子特有の空気感を、私は分からない。でも協調性を重んじていて、それから排したものは、奇異の目で見られる。と聞いた事がある。

きっと誰よりも其れを嗅ぎ分けている。嗅ぎ分けているから、下手な真似をしない。

「此処、大好きなんだよね。だから私にとっては一見さんお断り。連れは選ばせて貰うよ」

「どっちも好きなんだ」

そう言うと、ツンとそっぽを向いた。

彼女は友人をこの場所に連れて来て苦手な物を頼むのも、それで『苦い……』と言われるのも好きじゃない。そうして店側から弾かれるのを何より拒んでいる。

計算高い。伊達に顔を使い分けてない。

「本当に好きなものは、誰彼構わず。とはいかないね。リスクがデカイから」

自分が紹介したものが、相手の好みに合わなかった時、空気が濁る。だからこそ、余り連れ出したくないのだろう。


オマケ 友達故になせる技

別にあの子達の事は嫌いじゃない。素直だし、嘘は言わないし、比較的気が楽。でも全てにおいて、私と好みが合うかと言われればそんな事はない。違う人間なのだから当たり前。

だからこそ、食事の時の選択はドリンクバー一つとっても演算する。嫌なら雑音は軒並み排して駒を進めなければ。

あの子達は珈琲を好まないし、目の前で飲んだら『珈琲飲むの? 大人〜』『私、苦いの駄目〜』と言った話題になる。ぶっちゃけ返しが難しいので、珈琲の選択権は配して……。

そうなると、ジュースとかの選択権。そう言えば前にお勧めされてた葡萄があったな……今回それで行くか。

「ただいま〜。お勧めしてくれた葡萄、選んで来たよ」

吸引力中……。

「どう?」

「私は白い方が好きかも。この後味スッキリさが良い」

「ノーマルはカルピス割もお勧めだよ〜」

シナリオ通りの会話。この会話自体、嫌いじゃない。嫌いじゃないから一緒にいる。気だって使える。他の誰が何と言おうと、これが私の『親しき仲にも礼儀あり』なんだわ。空気の濁りを自分で生んだ時点で、『私』失格なんだわ!!

「今日も会えて楽しかった〜。うー……帰りたくない……。連れて帰りたい」

「えー、嬉しい!! 私は休日ガラ空きだからさぁ、何時でも待っとーよ」

その言葉が一番聞きたかった。その言葉を聞く為に、地雷以外は全て許せる。まぁ、お友達だからなせる技だな。

女子特有の空気感だと思うんですけど、何となくお揃い好きなんですよ。

だから相手が食べたり飲んだりしてるのものが気になると、感想聞くだけじゃなくて、自分でも試すんです。


これはテレビでもやっていた事なので、少し信憑性はありそうですね。

『えー、同じの食べて欲しいよー!!』

って零していた彼女さん。分からなくは無いんですよ。


そこで此処からが問題。

相手が苦手なものを、自分が好きで頼んだ時。

ちょっと好奇心誘われて、

『自分でも試してみようかな。苦手だけど、お友達がやれるなら自分でも大丈夫そう!!』

みたいな空気になるんですよ。

その後はもう、火を見るより明らかなんです。

ショボーンっとした顔で後悔するんです。


だから徹底的に好みは合わせます。

何なら食べる金額まで合わせます。

特に普段は注文しないような食べ放題系 (ドリンクバーとか)も合わせます。

ノイズは全てねじ伏せる。自分で産むことは許さねぇ。

精神です。


だからこそ、自分の好みを晒して『好みじゃないかな……』と言われるのは本当に堪えるんです。

もう立ち直れない。

自分の好きなものは全肯定して欲しい我儘精神なので、相手に勧めるのは血眼です。


今回の彼女はそんな子です。

この人は私の好み生き写し。

だから絶対に自分の意見を受け入れてくれる。

という精神で連れて来てます。


好きなもの程言えないですよ。

大事な相手に言われるからこそ、その傷つき方は尋常じゃないんで。

だったら最初から選択肢に入れません。


此処でこの例え出すのは凄いセンシティブなんですけど、同性愛者が同性愛者である事を友人に話すのと似てるんです。

受け入れてくれたら生涯のお友達です。

でもそうじゃなければ絶交です。


それぐらいなんですよ。大袈裟ですけどね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ