猫
今日という日は風が強く、顔が冷たくなって耳が少し痛い
世はクリスマスということもあって、イルミネーションで街は鮮やかに飾られていた
こんな日も僕は独りであるということを実感し苦笑いの白い息を吐く
路地裏の雪をギリギリしのげる場所にそいつは居た
「にゃ~」
真っ白な雪とは逆にそいつは真っ黒な猫だった
「どうしたんだい?捨てられた?それともはぐれたかい?」
「にゃ~」
凍えた猫を見て今日という日に独りなのに妙に心揺らされて私は猫を家に向かい入れるしかなかった。
猫は思った以上に冷たくやけに人に慣れた様子だった
家に迎い入れ、それっぽいご飯を用意してやった
「ゆっくり食べろよ」
「にゃにゃ!!」
家にあったツナ缶を与えると猫は必死に食べた
この日、孤独で潰れそうになっていた私は猫の登場によって、新しい家族が出来た気がして嬉しかった。
「ふぅ~、上手かった」
子猫はひとしきり食べると当然のように喋りだした。
猫は冷静に毛づくろいを始めて、こっちの驚きなど知ったことはない態度だった
「お、お前、今喋ってないよな、聞き間違いだよな?」
「失礼なやつだ、猫だって美味しい時は美味しいって言うんだぞ?」
「そ、そんなことって、、」
私は驚いたが、猫は私は無視して喋り続けるもので、現実を受け入れるほかなかった。
「おっさんはこんな日に独りなのかい?俺だって生まれて間もないが、今日という日が特別な日ということくらいは周りを見ていればわかるぞ?」
「やかましいわ!そういう人間だっているんだ!猫の世界だって一匹狼みたいな猫はいるだろ?それといっしょさ、俺は群れるのが嫌いなだけだ」
猫はなるほどと言ったように、毛づくろいを再開した。
「そんなことよりおっさんは家族とかはいないのか?」
「居るけど、一人暮らしだから居ないよ」
「彼女は?」
「居たら今頃ここにいるよ!なんなんだお前は」
猫は相変わらずこちらのことは気にせずに丁寧に毛づくろいを続けていた。
「お前は家族いないのか?」
私の質問に毛づくろいをピタッと止めて猫は一言
「今日からはお前が家族さ、そうだろ?」
「・・・・・・・ってお前はここに住むつもりなのか!?」
「違うのか?まさかなんの責任もなく僕を拾ったのかい?」
急に猫は喋りだすしとんだクリスマスになってしまった。
僕はただただ目の前の現実に頭を悩ませていた。




