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ネット掲示板のノリでVTuberのママになったTS絵師とその娘の物語。  作者: カミトイチ《SSSランクダンジョン〜コミック⑥巻発売中!》


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VTuber.71



「ふぐっ、うっ......」


ダメだったみたい。頬に涙が伝い、ポロポロと落ちる。


「ママ!?」

「ご、ごめん、ちょっと......」


やべえ、めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど。涙腺もろすぎだろ、私。


「パパ!?」


「ふぐっ、うっ......」


いやお前もかーい!!よかった私だけじゃなかった!!


いやでもさ、涙のひとつやふたつでちゃうってこれ。一生懸命バイトをこなして家族の為にがんばってた一人の女の子がさ、ここまで大きくなって......あ、やべまた泣けてくる。


つーか、まだ一年経ってないのにチャンネル登録者数810000ってマジ?冷静に考えてヤバすぎない?......頑張ったなぁ、美心。


「いやまた泣き出した!?止まったと思ったらまた泣き出した!?」

「ふぐっ、うう......立派になりやがって」

「ほ、ほんとに......自慢の娘にゃ、うう」


そして5分が経過。


「......やっと落ち着いたか」


そう言ってジト目でこちらをみる美心。


「ご、ごめん」「すまないにゃ」


「まー、気持ちはわかるけどさぁ、せっかくのお食事なんだから楽しくしようよ!それにほら、二人のコミケの打ち上げなんだし」


「まあ、そうね。確かに......あ、ちょっとお手洗い」

「はーい」「あーい」


よっこら、と腰を上げトイレを目指す。一応元男だからかこうした公共のトイレには抵抗があるんだが、背に腹は代えられない。漏らすわけにもいかんし。てか、わし女だし。


――鏡に映る自分。彼女の中に佐藤太郎はまだ生きている。


「......良かったな、おまえ」


美心に救われた前世の自分にそういい、トイレのドアを開けた。


こうしていると転生前を思い出す。飲み会はだいたい幹事をやらされていたな。有無を言わせずに、それが当たり前のように。


自分等では店を決めないくせに、料理が不味いだの金額が高いだのと言い、決まって最後は文句をつける。

だったらご自分で店を決めてはいかがですか?とも言えず、見えない圧力と恐怖にチキってしまう自分が嫌だった。


でも後に気がつくのだ。彼らはただ憂さ晴らしをしたかっただけなのだと。まるでシメのラーメンのように、俺に対する愚痴でストレス発散しシメる。


空気を読んで言われるまま頭を下げ、歪な笑顔で笑う自分が心底......気持ち悪かったな。


そういうものだと教育されきっていた負け犬根性にも反吐が出る。


だから飲み会なんて嫌だった。秋葉と会うまでは。


彼女は私を私としてみてくれた。ただの利用できる便利なモノではなく、人として。



――個室の扉を開けた。



「――わかったから!!まって!!」

「そんにゃこと言ってさぁ、絶対美心さんやらにゃいもん」

「やるっつってんでしょーが!!」


「どーしたの......なんの言い合いなんだこれは」

「美心さんが今度の企画でお絵かき配信するっていったんだけど、あやしいから録音して言質とろーかにゃあと」


「いや、おまえ美心の声を録音したいだけじゃないの」

「ぎくぅっ!?」


「え、そーなの?それならそーいいなよ......しつこくてびっくりした」

「秋葉は何か別の目的があるとき耳がひくひく動く。ほらみてごらん」

「あ、ホントだ!猫みたい」

「......ぐにゃあ」


「別にあたしの声ならいくらでも録音していいのに。てか配信の時の声じゃ駄目なん?」

「あー、多分......美心は秋葉のこと大好きだよ!って録音しようとしたんじゃないかな。その台詞を言うところまで誘導しようとしてたんだと思うよ」

「ぎくぅっ!?」


「ええ!?マジで!?てか、なんでわかったの!?」

「秋葉の考えることは大体わかる。これが私の念能力」

「クソいらねえ念能力にゃ......てか怖い」

「あははは」


笑う美心ちゃん。


「そういえばさ、パパあたしのこと美心さんて呼ぶのやめない?美心でいいよ、パパだし」

「おー、確かに」

「ま、マジかにゃ......!!」

「マジだにゃ!!」


グッ、と親指を立てる美心。


――......楽しいな。


私が今、こうしていられるのはまだ駆け出しイラストレーターだった私に色々教えてくれた秋葉がいたおかげだ。


色々と助けてくれた。


SNSの伸ばし方や客の取り方等のマーケティング。勉強はしていたが実際にやってみるとその難しさに心が折れそうになった。

けれどその度に秋葉が私が理解できるまで丁寧に教えてくれた。


ネット掲示板で出会ったただの底辺イラストレーターだった私に。


......秋葉は私の恩人だ。


彼女がいなければ、美心とも。



――感謝してるのは、わたしの方だよ......秋葉。



「あ、そーいえば!」


秋葉が両手をぽんと叩く。


「ちょっと聞きたかった事があるんだにゃん」


「「?」」


「美心は転生してるんだよねえ?......転生前は何歳だったのかにゃ?」


「び、びっくりした......」


目を見開く美心。


「あ、ごめん......ネタだったのかにゃ、これ?」

「......ううん。いや、転生してる.......23だったよ。.......でも、パパ信じてくれてたんだね」


「うん。娘の言うことだしねー......ちなみに前世も歌の活動してた?」


秋葉の問いかけに美心と私が驚く。


.......もしかして、歌い手のゲドウツクルに行き着いたのか?







【とても重要なお願い】


先が気になる!執筆頑張れ!と思われた方はブックマークや広告の下にある☆☆☆☆☆を★★★★★で評価を頂けると嬉しいです!


執筆の原動力になりますので、よろしくお願いします!!


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