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ネット掲示板のノリでVTuberのママになったTS絵師とその娘の物語。  作者: カミトイチ《SSSランクダンジョン〜コミック⑥巻発売中!》


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VTuber.41



しゃこしゃこと歯磨きをする。鏡に映る自分の顔がいつもより血色が良いのは、睡眠をしっかりとれたからか......それとも今朝の美心とのやりとりで惚けてしまっているのか。


洗面台、鏡よこの収納スペースに置いてある彼女のコップと、歯ブラシ。香るミントの匂い。


(......世界が明るく見える)


不思議だ。美心といると心が軽くなるし気持ちが明るくなる。今までの普通が普通じゃなく、どこか輝きを感じる。


近づけば近づくほど、関われば関わるほど......彼女の魅力に取り憑かれていく。


蓮華さんがお姉さんである遙華に、あれほど長い間囚われていた理由がわかった気がする。


――天性の愛される才能。


男、女、異性問わず。彼女には多くの人を虜にできる魅力がある。


(......だからこそ、美心の選択に委ねる)


クロノーツライブへの加入。


美心の力であれば、このまま個人勢として活動していてもおそらくは年内に登録者50万人は越えてくるだろう。

けれど、クロノーツライブへ加入すればより早い段階で......1ヶ月も無いくらいでそこへ到達するはず。


勿論、加入し活動を始めるにあたってチャンネル登録者がリセットされはするだろうし、活動開始まで時間は取られるだろう。


けど、クロノーツライブには宣伝効果や配信設備、なにより彼女の武器である「歌」を活かせる場所がある。このマンションの一室で行っている配信よりも格段に出来ることは増えるし、将来性がある。


(......考えれば考えるほど)


美心が大切なら、想っているなら、私は......。


『ママにとって、あたしって何なんですか』


私を映し出した彼女の瞳。


その質問にまともに取り合うことが出来なかった。


私にとっての美心ってなんだ?


娘?友達?スレ民?......私にとって。私は、佐藤太郎ではない。今の私は岡部倫だ。


(......岡部、倫としての......判断)


――カラン、となる歯ブラシを入れたコップ。


無数の水滴と、それが流れ着く先の暗い穴。


「ママ!」

「ん。どした?」

「あれみてください!」


美心はPCを指差し私の手を引く。


「なになに、どーしたよ」

「これ!」


モニターを見るとクロノーツライブ5期生の情報が出ていた。メンバーが3人決まり先行的に公表されており、どの子も有名絵師が描くモデルだった。


「みんな可愛い!」

「だねえ......私はこの片目隠れてる子が好きかな。陰キャオーラ出てる」

「あー、確かに可愛い!瞳に星があるのも良いですね!」


「美心はさ」


「はい?」

「話し、されてるんでしょ?」


「......話し、ですか?」

「5期生に入らないかって、クロノーツライブの......えまちゃんのマネージャーさんから」


「......あー.....はい、まあ」


――このタイミングだ。


ここしかもう切り出せない。


『ママにとって、あたしって何なんですか』


大切な人だ......幸せになって欲しい。


今度こそは。


もう、俺との約束なんかに縛られないで、真っ直ぐにそこへ――


「......クロノーツライブの力は大きい。それこそ、美心にその力が備われば、君は最高最強のVTuberになれる。だから、どう?やってみる?......5期生として」


ジッとモニターの5期生を見つめる美心。


「......ママはそれが良いと思ってるんですか」

「将来性を考えれば、そうだね。個人での戦いには限界がある......それに、どのみち箱に入る事になると思う。それが早いか遅いかの話で......」


「そうなるとママはどうするんですか?」

「私?」


この活動が終われば私はまたイラストレーターとしての仕事に戻るだろう。また、いつもの暮らしに......。


「まあ、陰ながら美心を応援するさ。美心が立派なVTuberとして最強に成る様を......」


「はぁ......」


......クソデカため息吐かれたんだが。


「ママはホントに嘘つき」

「嘘つき?......いや、嘘じゃないだろ。クロノーツライブなら――」


「ちがーう!!」

「はいっ!すみません!」


思わず謝ってしまった。急にどーしたよ。こええよ。


「ママって、あれですよね。そういう悪い癖ありますよね」

「......悪い癖?」

「そーやって本心を隠すところです」

「本心を隠す?いや、隠してなんか......だって、私は美心の事が大切で......だから、最善の手を」


「それ、ほんとに最善?」

「......え?」


「ママの気持ちはそこにあるんですか?」


その一言が深く刺さる。......私の気持ち。


いや、確かにそこに私の気持ちは無い。ただただ、美心が幸せになれるように.......いや、むしろそれが私の気持ちだ。


その願いの為に気持ちを殺す。それが最善.......全ては叶わない。なら、その為に差し出す、犠牲となるものくらいは私が選ぶ。


「昔、転生前に仲良くしてくれてた人がいたんです」

「!」


「似てるんです。ママは、その人に」


「そっか......それが、なに?」


「その人も自分の気持ちを出すのが苦手な節があって。でもだからこそ、今のママが本心を言ってないことがわかる......」


「本心だよ」


ただ、美心の為に。それは紛うことなき真実であり、本心。


「わかりました。でも、それじゃあこれだけ言っておきます」


「?」


「あたしは『アリス』です。ママの娘です。スレ民の皆と、パパと、多くの仲間と一緒に歩いてきたVTuber......そして、これからも」


真っ直ぐな彼女の目が、光に満ちているその笑顔が眩しい。





【とても重要なお願い】


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執筆の原動力になりますので、よろしくお願いします!!


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