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ネット掲示板のノリでVTuberのママになったTS絵師とその娘の物語。  作者: カミトイチ《SSSランクダンジョン〜コミック⑥巻発売中!》


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VTuber.21


――あの日、二人は......ひとつの約束をしていた。





数曲を歌い上げ、リスナーへとアリスが呼びかける。


『みてみて、これ。新衣装!ママが用意してくれたんよ。似合ってる?』


首を横にふりふりするアリス。


『似合ってる』

『可愛い』

『めっちゃ可愛いね』

『いい』

『ダッフルコート』

『おされ』

『ええやん』

『でもちょっと大人しめ』

『可愛い』

『すき』

『いいわこれ』

『つか背景綺麗すぎ』

『演出やべえなw』

『金かけてんなあ』

『早着替えすごすぎた』

『アリスたん』

『すきー』

『雪綺麗だねえ』

『コート可愛い』


アリスはコメントに対して、にこにこと満足そうにお礼を述べる。


『えへへ、ありがとー。これさ、昔着てた服をモデルに描いてもらったんだぁ。好きだったんだけど、訳あってもう着れなくなっちゃって......だからママにプレゼントしてもらったの』


――次曲のメロディが流れ始めた。


『皆はさ、忘れられない事ってある?』


アリスの質問。勿論、これはリスナーに対してでもあるが、蓮華さんへ問いかける言葉だった。


『あたしはね、昔やりのこした事があってね。その時に、きっと大切な人......妹なんだけど、泣かせちゃった事があったのね』


――優しいピアノの音は、アリスの心と同調するかのように穏やかに進行する。


『泣いてるのは、直接は見てないんだけど、きっと泣くんだろうなって思ってさ......あたし、それを思ったら、すごく寂しくなったんだ。だから、きっと妹も同じ気持ちだったんだろうなって.......』


そう。二人は同じなんだ。


寂しかった。


遙華も蓮華も、同じ気持ちで......寂しかったんだよね。


アリスはふう、と息をつく。


――そして、覚悟を決めた。


『だからね、これからもう......また会えなくなるとしても、これは......あの日の約束した歌だけは、今日、果たすよ』


『姉妹喧嘩か』

『たしかに寂しいね』

『でも仲直りできる』

『アリスなら大丈夫』

『優しいから』

『がんばれお姉ちゃん』

『会えなくなるの?』

『歌で伝えるんだね』

『妹さんみてるのかな』

『てか聞いたこと無いメロディだな』

『なにこの歌』

『がんばれアッネ』

『ねーたんがんば!!』

『おお』

『なんか流れてる』

『なにこの曲』

『知らないメロディ』

『おねええええちゃああああんん』

『がんばれえええ』

『喧嘩だめ、絶対』

『仲直りがんば』

『ケンカするほどなんとやら?』

『姉妹かあ』

『ひとりっこだからケンカできねえ』

『仲直りしよーよー』

『お姉ちゃんを遂行するんですね?』

『おねええちゃん』



実は、アリスが勇気を出せるようにあらかじめスレで告知しておいた。今日の配信は俺たちの娘の大切なモノになるから、全力で応援してくれと。


(......でも、これ......そんな必要は無かったか)


流れる『がんばれ』『大丈夫』『仲直り!』等の応援のチャットはその多さ的にスレ民だけの量ではない。多くのリスナーがみんなアリスを応援してくれてるのがわかる。


「......こいつら、あったけえな」


本当に、あったかい。皆が、アリスの背を押している。

けれど、それはアリスだけじゃない。彼女はきっと観てくれている......この声はあなたに向けてでもあるんだ。


アリスは呟くように、こう言った。


『オリジナル曲です。聴いてね......』


彼女は、曲名を告げる。


――『二人の記憶』


クリスマス、遙華が事故にあった日。


その夜に完成したこの曲を、蓮華さんに初披露する予定だった。


それは、二人しか知らない約束。


すぅっ、と呼吸をし彼女は想いを紡ぎ始めた。


『――二人で観た星に、祈る想いを♪』


背景が再び雪景色へと切り替わる。けれど、これは最初のイラストでは無い。


笑顔の姉妹が手を繋ぎ、クリスマスの街を歩く......そんなイラスト。


『――ほら、もっと暖かく抱きしめてあげる♪二人ならどこでも行けるね、寂しくない♪』


『なんつー』

『ええ曲や』

『ピアノが良い味出してるわ』

『初オリジナルか』

『すげーなこれ』

『名バラード』

『これは切り抜き確定だな』

『めっっっちゃリピートするわ』

『ああああああ!!泣けるうううあああ!!』

『いや絶叫ニキうるせえww』

『これは絶叫泣き』

『お前もうるせえww』

『いやあ、上手いね』

『歌唱力おばけ』

『艶がある』

『すごく、すごくうまい』

『なんでまだスパチャできねんだよ!』

『金 を い れ さ せ ろ』

『心が洗われますね』

『ふつくふつくしい』

『はよスパチャ解禁たのむ』

『これは数万の価値あり』

『こいつ歌うますぎだろ。何食って育ったんだ』

『うめー』



――美心の想いがメロディに乗り、輝きを増していく。おそらくは姉妹がみた夜の星々のように。


気がつけば、私は泣いていた。


(......何回泣かされんねん。娘に、私は)


アリスの後ろに映る流れ星。私は祈る。この想いがどうか蓮華さんに届いてますように、と。


歌が終わり、アリスが掠れた声で、鼻をすすりながらこう言った。


『......認めてくれなくても、いい。寂しくなったら、頼って......お願い』



励ましのコメントが流れるチャット欄。


そしてその中で、ただ一つ。


それに答えたメッセージがあったのを私は見逃さなかった。





『酷いこと言って、ごめんなさい。お姉ちゃん』











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