うさぎ雲と夢
むかしむかし、あるところに、いじめられっ子の女の子が居ました。
女の子は頑張っていれば、いつかきっと報われることを知っていました。だから、諦めずに今日もいじめと戦っています。
ある日のことです。
学校から帰る途中で、女の子は変わった形と色をしている雲を見つけました。その雲はなんと、うさぎの形をしていて、薄桃色をしていたのです。
女の子は、「不思議」だと思う前に、無意識のうちに、その雲を追いかけていました。
*****
「ん……」
ふと目が覚めて、5秒ほど間が空いた後に、今日もまたあの夢を見たことを自覚した。毎日見る夢──。私の大好きな児童書……うさぎ雲の内容。
私は枕元の本棚に手をやり、もうボロボロになったうさぎ雲の本を取り出した。
深い赤色の装丁のそれは、毎日のように開いていて、ボロボロ具合から、かなりの年季が入っているのが一目で分かるほど。
だけど──。
いくら好きな内容だからと言って、子どものころから毎日同じ夢を見るのかな? 私は、この夢になにかしらの意味があるように感じていた。
──毎日見る、うさぎ雲の本と全く同じ展開の夢……。