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♯87 Heavy Rain 32
(よかった。見えているんですね?)
爻もホッとしたようすで艾へと近づく。
「姿は見えませんけど、雨が爻さんのシルエットを弾いているので、何となく分かります」
降り出した雨に感謝しつつ、爻がここにたどり着くまでの経緯を説明しようとしたときだった──
「……爻さん? どうしてずっと……“黙っているんですか?”」
(えっ? 艾さん? 聞こえて……ない?)
『あらら。せっかく逢えたというのにねぇ』
「大丈夫。声なら私達が届けるよ」
2人の茉莉が爻と艾に笑顔を向ける。
(……助かるよ)
「……助かります」
『ふふっ。同じこと言ってる』
雨に打たれながら2人は、お互いの顔を見て微笑んだ──




