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♯85 Heavy Rain 30
今にも空が泣き出しそうで、まるで自分の心を見ているかのような気持ちの艾。
「……時間ならまだある」
すっかり暗くなった通りは、風に揺れる葉擦れの音がうるさく聞こえるほど静まり返っている。
右を見ても、左を見ても、艾を笑顔にする人影は見当たらない。
「お願いします! 今日この1回だけでいいです。どうか、爻さんに逢わせて下さい。そしたら……」
次の言葉を口にするのを一瞬躊躇いながら……。
「……そしたら、もう何も……望みませんから」
顔の前で、祈るように指を絡める艾。
「……冷たい。雨……降って来ちゃった」
見上げる艾の顔を雨粒が濡らし、頬を伝って流れ落ちる──




