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♯79 Heavy Rain 24
とあるビル──
とある一室──
窓の無いこの部屋から、外の様子を窺うことは出来ない。
(……はぁ、はぁ。ありがとう……助かったよ)
目の前にいる者を味方だと認識した爻は、思わずお礼を口にしていた。
「どこの世界でも、爻は爻なんだね」
(ん? そういえば、さっきも俺の名前を呼んだけど、何で知っているんだ?)
その言葉を聞くと、レインコートのフードをゆっくりと外しながら、こう続けた──
「言ったはずよ? “ここは過去と可能性が交錯する分岐点” だと」
(……なっ! 何で! どうして……だって……お前)
自分の目を疑い、記憶を疑い、鼓動が高鳴る爻──
「……はじめまして……かな?」




