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♯78 Heavy Rain 23
「私を信じるなら、この手をとって! 時間がない……早く!」
姿の見えない者を信じろというのは難しいが、少なくとも爻自身に選択を委ねているあたり、後ろの奴らよりは信じられる。
そう思った爻は、その手を掴んだ──
(……誰なんだ? お前も、後ろのも、いったい何が起きているんだ?)
闇の中、漆黒色のレインコートを羽織り、爻の手を引く者は一言だけ……。
「ここは過去と可能性が交錯する分岐点よ」
(過去……可能性……何の話だ? これは “あいつ” のフラッシュバックじゃないのか?)
「フラッシュバック? 私達はここを “ターミナル” と呼んでいるわ。爻? 詳しいことはあとよ!」
(ん? ……わからないことだらけだけど……わかった)
そして、2人は足音もなく、闇に消えた──




