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♯77 Heavy Rain 22
(お前ら……ゾンビにしては優秀な方だよ……なかなか足が速い……)
ビルの間を縫うように、時には体をひねりながら駆け抜け、必死で追跡を振り切る爻──
(捕まったら喰われる……とかじゃないよな?)
視線は爻をロックしたまま、地響きみたいな低い声を発して迫り来るモノ達。
(とりあえずは逃げ切れ……)
視界の端から急に飛び出してきた細い腕に掴まれ、爻はさらに細い路地へと倒れた。
(……っつ!)
倒れながらも、正体を見定めようと痛みに耐え顔を歪める。
(誰だ……)
背後から近づく足音──
前にも正体不明の存在がいることは確かなのだが、闇が深すぎて目視出来ずにいた。
(……どうする……ここまでか)




