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#76 Heavy Rain 21
爻の前に広がる光景──
(全員、俺を見てるな……しかもあの眼は……やばいだろ)
それは “声の主” が仕掛けたものだった。
紅く、そして鈍色に光る眼差しが、爻の恐怖心を増長させていく。
(気付いてくれたのはうれしいけど、歓迎はされてない……か)
「…………」
(話して解る相手じゃないよな)
ゆっくりと一歩、後退る爻──
それを皮切りに、一斉に爻へと向かって走り出すモノ達。
(おいおいおいっ! 鬼ごっこにしては鬼の数多すぎだろ! それにお前ら、鬼って言うより……ゾンビって感じだ!)
「…………」
幸いにして街中、狭い路地裏などが多く、爻も土地勘がある場所の為、逃げ道には困らないと思われた……のだが。




