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#71 Heavy Rain 16
艾をママと呼ぶ者が、はっきりと姿を現す──
視線を外すことなく、艾はまっすぐ相手をとらえる。
「あなたもまた、ここではないどこかから来たのね?」
艾に子供はいない。
そのことから、他の並行世界からの来訪者なのだろうと予測したようだ。
「ママがお気に入りのあの人。“全部” 信じちゃってホント面白い」
「私はママじゃない……それから、爻さんに何かしたの?」
落ち着いた声ではあるが、込められた感情は相手を身震いさせる程、高圧的なものがある。
「怖いなぁ。何もしてないし、ちょっと遊んでるだけじゃない」
「もし爻さんに何かあったら……」
「……あったら? ……私を消す?」
不適な笑みを浮かべ、艾の子供を名乗るそれは、さらに続ける──




