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#63 Heavy Rain 8
茉莉がいない世界──
いや、今はもう、そんな悲しい世界ではないのだと、爻は心で理解した。
(茉莉は生きている。ここで……俺の中で、俺と一緒に)
『だから、さみしくない……ですか?』
知っているのか知らないのか解らない、例の声が聞こえる──
(感情で表現出来るものじゃないってことだ。お前には解らないだろうがな)
『そうですか。それは残念です。で、どうします? ここで戻るか……この先へ進むか……』
(そんなもん決まってる! この先にいるんだろ? お前が誰なのか……この目で確かめてやる!)
『……楽しみにしていますよ。お会いできるのを』
『ひとつヒントを差し上げましょう』
(お前も俺に会いたいらしいな)
『相思相愛といったところでしょうか』
(気持ち悪いこと言いやがって! ……ん? おいっ! それがヒントなのか?)
『私は逃げも隠れもしませんよ。お待ちしています。それでは──』
(くっ! 掴めない奴だ。さあ、まずは何をする……)




