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#58 Heavy Rain 3
(万理姉……事故直後に来てたのか。何で黙っていたんだ?)
「お願いします! この通りです! どうか助けて下さい! お願いします!」
声の主は万理華だった──
(何してんだ? ……はっ!)
床に額をつけ、涙をボトボトと零しながら万理華は、茉莉の母親にただひたすら頭を下げる。
「それじゃあ……ウチの子は……茉莉はどうなるんですか! 私にはもう……あの子しかいないんです!」
茉莉の家は、早くに父親を亡くしているため、母一人、子一人の母子家庭だった。
「そうだ! お宅の力で何とかなるんじゃありませんか!」
“お宅の力”──
それはつまり……お金。
(何だよ……何で片方しか助からないみたいな話をしてる)
業界でも有名な資産家。
爻はその家の末っ子なのだ──




