53/113
#51 2つの顔
「……と、ハル君?!」
万理華以外の全員が驚き、視線を交錯させる。
「皆揃ったわね。それじゃあ、お食事を楽しみましょうか」
手を胸の前で、パンっ!と合わせ、とてもにこやかな表情の万理華。
「全員キョトンとさせといて、飯食う空気じゃねぇだろ! とりあえず説明しろよ!」
万理華の片眉がピクリと動いたのを見逃さなかった爻は……。
「はぁ……悪い……」
静かに席へと着いた。
(爻、よくボスにあんな口を利けたなぁ……)
(万理姉が一番、テーブルマナーにうるさいからな。気を付けないと……)
「サメちゃん。いつも爻がお世話になっているから、今日はそのお礼だと思って、お腹いっぱい食べてね」
「えっ? ボス。お世話になっているって……」
「うん。爻はわたしのかわいい弟だからね」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!」




