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#42 筆談
口に出せば恐らくハルの耳に入ると思った爻は、それっぽいことを話しつつ、持っていたペンで言葉を書き綴った。
──大丈夫ですか?
──はい。助かりました
──よかったです。何が? って言われなくて
──心の声が届いたようで、嬉しかったです
──心の声?
爻は艾と視線を交わすと、何となく照れて、すぐにまた視線を外した。
──あの艾さん? 聞いてもいいですか?
──答えられることなら、どうぞ
(何あの2人……妬いちゃうんだけど……)
目だけを動かし、2人の様子を見ていたハル。
(まあ、時間はたっぷりあるんだ。少なくとも、爻……君よりね)




