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#36 お探しの本
「万理華さん、2人で選んだ本です。いかがでしょうか? もっとこういった物がいいと仰って頂ければ、お探しいたします」
一冊ずつ手に取り、『んー』だの『あー』だの、本のチェックを始める万理華。
「オッケー! これでいいわ。あと一冊、辞典があると助かるんだけど……」
「辞典ですね? 少々お待ちください」
駆けていった艾が、足早に戻って来た。
「あのぉ……万理華さん? 英和、和英など……どれがよろしいですか?」
「ごめん、ごめん! いい忘れてたね。国語辞典をお願いします……わたし用に」
「ああ……万理姉、日本語アレだもんな」
「おっと、こらこら」
抱えていた本で顔を隠すと、笑いを堪える艾──




