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#21 杞憂
「ねぇ? 爻? 聞いてる? 景色見るなら観覧車でしょ?」
「……そ、そうだな。観覧車な」
動揺を隠せない爻──
「爻は高所恐怖症だから、結局乗れなかったけど……(楽しみにしてたのになぁ)」
「だって、もし落ち……」
「落ちないよ! あ~れっ! 落ちないよ!?」
遠くに見える観覧車を指差しながら、茉莉は半ば呆れているようだった。
「もうっ! ……2人で乗りたいよ」
悲しそうな顔の茉莉に、眉を八の字にして、少し困った表情をする爻。
「じゃあ……次な? 今度来たとき……あれ、乗ろうな?」
(……次なんて……なかったんだ)
「本当? あっ、無理……してない?」
「大丈夫! 気にするな。茉莉の笑顔、見たいからな!」
(茉莉……おまえは今、どんな顔してるんだ?)
再現現象は、さらに続く──




