18/113
#16 招かれざる客
爻が艾の元で働き始めて、一週間が過ぎようとしていた。
「ありがとうございました。お気をつけて」
丁寧な接客は、艾ですら見習おうと思う程で、中には爻に会いたくて来たというお客様もいた。
お会計を済ませたお母さんに手を引かれた女の子が、爻に向かって手を振っている。
「バイバイ。おにぃちゃん」
爻も笑顔で手を振り返す。
「爻さんモテモテですねぇ」
奥の方から、台車に本を乗せて運んできた艾に声を掛けられ、少し照れ気味に頭を下げる爻。
ポロロロン♪──
ポロロロン♪──
お客様の来店を知らせる音が、店内に鳴り響く。
「いらっしゃ…………はぁ……何しに来たんだよ」
「……ん? ……爻さん?」
「ヤッホ~。来ちゃった」