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#15 2人
店へと着いた2人──
「さぁ、しっかり休んだから、今日はがんばりますよぉ!」
独り言で気合いを入れる艾に対して、爻は言おうと決めていたことを口にした。
「あのっ……艾さん!」
「……はい?」
声色明るい艾は、花を飾るための花瓶を探している。
しかし、続く言葉が聞こえてこないことを不思議に感じた艾は、2度程瞬きしながら爻へと向き直った。
カウンター越しに視線を重ねる2人──
「も……もしよかったら、俺を……艾さんの……」
(ふへっ? なっ、ななな何です? この展開……きゅ、急じゃないですか? 爻さん……)
「俺を……艾さんの……お店で働かせてくださいっ! お願いしますっ!」
「…………えっ? ……あ、はい」
(何を期待していたんだろう……私は……でも、うれしいな)
「ホントですか?! よかった! ……あっ、早速開店準備手伝います!」
こうして、艾の書店に爻も加わり、今日も小さな書店に、暖かな陽が射す──