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#12 姉と弟
「で? その花は?」
「姉貴には関係ないだろ」
「久々に会ったのに冷たいんだから……元気なの? 茉莉ちゃん」
爻の表情が見る間に険しくなり、花束を握る手が震え出す。
「おっと、聞いちゃいけないことだったみたいね。いいわ……これ……」
自分の名刺を爻に握らせ……。
「何かあったら連絡しなさいよ? それから……」
爻の姉は視線だけを花に向け、こう付け加えた。
「そんな力いっぱい握ったら可哀想でしょ。優しく包み込んであげないとダメよ?」
「……わかってるよ」
「ホントに解っているのかしらね。まっ、いいわ。わたし、しばらくこっちにいられるから、ご飯でも食べに行きましょう? その……お花の子も一緒にね。それじゃあ……」
爻は返事をすることなく、姉に背を向けると、足早に艾が待つ病院へと歩き出した。
「今さら、何なんだよ……ったく!」