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#11 予期せぬ再会
爻は朝から落ち着かなかった。
「誰かに花を渡すなんて、何年振りだろうな……」
病院の近くの花屋さんに寄り、退院祝い用にと作ってもらった花束を抱え、空を仰ぎ見る爻。
「おまえはどう思っているんだろうな……茉莉」
何かを思い出したかのように、笑みをこぼしながら歩いていると……。
「……爻? 爻じゃない?」
大きなバイクに乗った人物に呼び止められたのだが、ヘルメットがフルフェイスだったこともあり、首を傾いで様子を窺った。
「あっ、そっか。そりゃあ判んないよね? ……わたしだよ……わたし」
「……なっ! なんでっ?!」
爻は驚きを隠せなかった。
「いやぁ、昨日帰って来たんだけどさぁ……って、なんでってなによっ!」
数年振りに爻の前に姿を現したのは……爻の姉だった。