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♯107 ナンバー0
ナンバー0の9の23──
これは爻がここで働き始めて、一番最初に艾に教えられた、本を探すためにの数列である。
「ナンバー0……うちには0番の棚など無いはずだが……」
最初の数字が棚番号、次が段数、そして左から数えて何番目なのかを意味していた。
「段数も9なんて多過ぎますしね。一番高い棚でも……高い棚……高い。もしかして……」
爻は何かを思い出し、3段程の脚立を手に1番の棚の脇へ置いた。
「……確かここに」
仕事の前と後はいつも棚上の掃除をしているので、手を這わせても埃のひとつも付かなかった。
「……あった!」
ナンバー0番の棚──
それは、艾専用の棚だった。
「……ほう。辞書かね」
どうしてもこれが欲しいのだと、人目につかない場所にこっそりと艾が置いていたもの。
「……本はこれ1冊だけか。じゃあ、次の数字は……」