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♯101 Heavy Rain 46
“惑星の記憶”──
それは、この星が誕生してから今に至るまで、星自身が見てきた全ての時間のことである。
「……艾のことを忘れてしまうのか? ……俺も」
“惑星の記憶”から消えるということは、存在が認められないということ。
「爻……可能性は残したから。本当に大切なものは、そこに置いてきた」
「でも! 消えたら意味ないだろ! 思い出せなくなるなら……こんなこと……」
お互いにもう触れられないことは分かっていたが、艾は爻の頬にそっと手を伸ばし──
「ここは特別で、絶対に守り抜かなければならない場所。私の不注意で世界を危機に晒すことは許されないの。それに……」
ほぼ光の粒子と化している艾は、最後にこう付け加えた……。
「爻に出逢えたこと……私も忘れないから。だから……」
動く艾の唇は、爻に何かを伝えた──
直後、艾の形を保っていた光の粒子が、一瞬にして……消え去った。
「…………艾」