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♯99 Heavy Rain 44
艾を抱きしめた自分の腕が透けていることに気付いた爻は、強く抱きしめていいものか悩む。
「艾……怖いか?」
心が繋がった状態であることを忘れ、何かを口にしていないとどうにかなってしまいそうな程、爻は動揺していた。
「……ごめんね。私……爻を怖がらせてる」
「謝らなくていい。俺の心も……分かっちゃうんだな」
「……だからね? いっぱい言いたい……ありがとうって」
艾の頭をなでる手には、すでに触れている感覚は無かった。
「くっ……おいっ! このまま時間まで隠れているつもりか! 姿を見せろよ!」
自分でもどこへ向かって叫んでいいのか分からない爻は、誰もいない空へと声を荒げた。
「……いやぁ、ママの最期なんて見たくなかったからさぁ。でも……綺麗なものが見れて満足よ。フフっ……」
爻の心の中に怒りの感情が増殖していくのを感じた艾は……。
「爻……ダメよ。自分に負けないで! 感情をコントロールするの」
その言葉を聞き、爻は静かにまぶたを下ろした──