10/113
#8 負傷
倒れた艾の周りには、たくさんの本が散乱していた。
「何があったんです? 頭を打ったりしていませんか?」
首を横に降り、大丈夫だと意思表示する艾だったが……。
ポタッ……ポタッ……。
爻の腕を伝い、鮮血が床に滴る。
「爻さん! ケガをっ……!」
爻は自分の傷口には一瞥もくれず、汚さないように艾を抱き起こした。
「艾さんこそ、どこか痛いところはありませんか?」
「私なんかより……爻さん……が……」
血を見たショックから、艾は意識を失ってしまった。
「艾さん? ……艾さん!」
ガラスの割れた店をこのままにして、病院へ連れていくことも出来ないため、爻はやむを得ず、救急車を呼ぶことにした。
「……はい……救急です」