第7話『再会』
第2章へ突入です!
喚剣戦が多くなって来る「煌王選」編です!
2章もどうぞよろしくお願いいたします!
あのルフラージとの戦いから1週間が過ぎた。
ユニゾンルームでの出来事は学院全体に知れ渡り、あちらこちらで騒ぎになっていた。
1週間も経つと言うのに、煌級精霊の出現となれば話は別だろう。
煌級精霊は、凛人の振るった「裂闇の黒剣」を媒体にし、
力を封印され眠っている。封印を行う為に犠牲となった剣は数知れない。
しかし、生徒など人員の犠牲は奇跡的にも1人も出ていなかった。
ーーーーーそう
ーーーーーーーーーーこれはまだ序章に過ぎなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「おはよ、凛人!」
「あ、おはよう! シェリア」
男子寮と女子寮からの通学路で、2人は挨拶を交わす。
「そろそろ体調は良くなってきた? 貴方、あの時の負荷が大き過ぎて、ここ最近
まともに歩けなかったじゃない・・・まったく・・・」
「はははっごめんごめん」
凛人はあの時、大輝石に触れた。
あの一瞬。あの一瞬、大輝石に触れてから
吹き飛ばされるまでの数秒間で、凛人の中の力がごっそり持っていかれたのだ。
凛人をシェリアと共に介抱してくれたアリスいわく、
『これが凛人さん以外だったら、後遺症だけじゃ済まない』、と言うくらいだ。
どうしてあの時に凛人は動けたのか? アリスはそんな疑問を抱いていたらしい。
「ーーーほんと・・・生きててよかったわよ・・・ばか・・・」
「ん? シェリア?」
「な、なんでもないわよっ!」
顔を赤くした少女は、足早に歩きはじめた。
「まってよ! シェリアってば!」
今日もまた1日が始まる。
「きりーつ。れーい。ちゃくせーき」
クラスの生徒がやる気のない号令をかけ、ホームルームがはじまる。
今日の先生はなんだか機嫌が悪そうだ。
「今日のホームルームはぁ・・・」
先生は凛人の隣の空いた席をにらみながら、
「そこの寝坊の女をだれか起こしてこぉぉぉぉい!!
ああもう! 凛人! シェリア! 連れてこい!」
そして、その先生の機嫌の悪さが2人に被弾した。
「「は、はぃ!」」
2人は勢い良く飛び出し、寮へ逆戻りする羽目になってしまった。
「せんせー、なんで今日機嫌よろしくないんでございましょーかー」
空気の読めない生徒がクラスの空気を凍らす。
決して精霊の力など借りてはいない。
「・・・だってぇ・・・あーくんとケンカしちゃったのぉ・・・!」
「「「「あぁ、めんどくせぇ。非常にめんどくせぇな。この教師。
てか、あーくんって誰だよ」」」」
ーーこんな茶番をやっているのとは別に、2人は女子寮へと着いていた。
女子寮と言うのは凛人にとってあまり良い思い出はない訳で、ちょっと
しのびない感覚に襲われていた。
「あー、そう言えば。その寝坊の子なんだけどね? 最近まで
"学院選抜„で学院を後にしてて、昨日遠征から帰ってきたのよ。
大分絞られたんだろうね・・・私も一回行った事あるけど、あれは地獄よ。地獄」
シェリアは、こころなしか身体が小刻みに震えていた。
よっぽどきつかったのだろう。
「ここよ。勝手に入るわよー?」
またして鍵のかかっていない部屋に入っていく。
なぜ女子寮はこんなにも警戒がゆるいのだろうかと不思議に思う凛人だったが、
これ以上踏み込んだら危険だ。と本能が言っているから踏み込まないようにしよう。
「あ・・・入って来ないでよね」
「入りません入りません」
やはり僕はそう言う認識をされているのかも知れない。素直にショック。
とは言え、あれは事故だ。決して故意では無い!
・・・先生、なんで怒ってたんだろう・・・
凛人は今思い出さなくても良い事を思い出す。
「キャッ!!」
部屋の中からシェリアの声が聞こえた。
凛人は瞬時に反応し、部屋に駆け込む。
「なッ・・・・・」
なんと、そこには・・・
寝衣のはだけた少女が、シェリアと見事なまでに絡んでいた。
「やぁッ・・・やめてぇ・・・み、みちゃ、だ、だめ・・・」
「んーふふー♪ 離さなーぃ♪ んふー♪・・・」
あ、あれ? 何この状況。
「2人共・・・何やって・・・あれ?」
凛人は違和感に気付く。この寝衣の少女・・・寝てる!?
寝ぼけてもこの社会的にアウトな状況にしてしまうとは、恐るべし。
「こ、の・・ハァッンッ!・・・ンッ・・・おき、なさいよっ・・・・」
あぁ、ますますやばい。やばいやばいやばい。
「んふふふー♪ おいしそぉー・・・・・・ふぁ?」
やっと起きた・・・「「よかったぁ」」
目覚めた少女は目を丸くして、
「あれっ!? なんでリアがいるの!?」
貴女を起こしにきたのよ。と言うように、シェリアは少女を睨む。
少女は反省する様にシェリアから目線をそらす。
その時、僕は少女と目があう。
「・・・あれ? ええ!? "凛人„!?」
驚きのあまり、少女は一瞬フリーズした後、大きく息をすって、
「りぃぃぃんとぉぉぉぉぉっ!」
重く柔らかい感触が頭上に伝わる。
「この感じ・・・志乃!?」
この感じって、どんな感じだよ。どこの感触だよ。(唐突に第三者の声)
長い間会っていなかったから分からなかった。
たしか、小学5年くらいからだったかな? それ以来だ。
「りんとぉ!会いたかったよぉ!」
「ちょ、待ってくれ志乃! 落ち着け!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ーーなんとか少女をなだめ、話を始める凛人。
「まずは・・・なんで志乃がこの学院に?」
「ふぇ? なんでって・・・入学したからに決まってるでしょ?」
当たり前の様な顔して答えので、どう返したらいいか戸惑った。
「と言うか、2人はなんの、ご・関・係で・・・?」
シェリアはなんだか不機嫌なご様子。
僕は何かやらかしたのだろうか。
「リアってば、怒らないでよっ♪ 凛人と私は幼馴染なだけ!」
この天真爛漫な彼女。「葉月 志乃」が言う。
「幼馴染!?」
「「なんでこんなに驚くんだろうか」」
凛人と志乃は思った。
「と言うか! 志乃ってば! 早く支度しなさいよ!」
「え! 今日学校なの!?」
このおっちょこちょいな所。やっぱり志乃だ。
あの時、志乃が急に引っ越してしまって、ずっと寂しかったのを覚えている。
「でも、元気でいてくれて安心したよ。志乃。」
「ほら! 凛人! 学校学校!」
「はいはいっ」
凛人は志乃との意外な再会をはたし、思い出にひたりながらも
駆け足で学校へ向かう。
ガラガラガラガラガラッ
「先生! 連れてきまし・・・」
『びやぁぁぁぁぁぁぁぁん! だってぇ! だってぇぇぇぇぇ!』
先生は、ただただ泣きじゃくっていた。
この事が後で学院長にばれ、呼び出しを食らったらしい。
その後、シェリアはこんな事を考えていた。
「ーー幼馴染って・・・いいなぁ・・・」
誤字、脱字等ありましたらご指摘よろしくお願いいたします!
評価、ブクマ、感想お待ちしております!