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『精霊召いの喚剣士』  作者: 実山 悠
第2章『煌王選《ロイヤル・ディサイド》』
13/16

第12話『奪取』

次話投稿になります!


ー報告ー

「精霊召いの喚剣士」ついに、アクセス数が1000を超えました!T^T

この作品を見てくださっているみなさまに、多大なる感謝を!そしてこれからも

物語は続いていきます! よろしくお願いしたします! 記念として今回は

ちょっと長めです! ぜひたのしんでいってください!



ここ煌聖学院の学店街は、いつも賑やかだ。

1週間の学び疲れた身体や精神を、一人でも、二人でも、大勢でも楽しめる環境が整っている。そんな学店街を探索する凛人とシェリアは、十分と言って良いほど満喫していた。

「それにしても、とんでもなく広いんだね・・・ここ・・・」

「そうね・・・どれくらい歩きまわったかしら・・・」

今日と言う日を楽しんだ二人の"デートらしからぬ何か„は終盤へと近づいていた。

凛人は異変に気付く。

「あれ?」

「どうしたの? 凛人」

「あぁ、僕がこの学院に初めて来た時さ、とても長い道を歩きまわって君を見つけたんだよね。その時、いくら歩いても疲れを全く感じなかったんだ。でも今はなんか違う。とても歩き疲れたと言うか、なんと言うか・・・」

凛人は顔を曇らす。

この学院の生徒は全員が特殊であるため、ちょっとした運動を行う際に身体が勝手に煌霊力(ネイクス)を使用し運動補助をしている為、疲れを感じないようになっているのだ。

この運動補助は、学院内、もしくは喚剣融合(ログイン)などをして、精霊もしくは悪魔と接続関係下にないと効力を発揮しない。

現状、今は学院内であり運動補助が発動しているはずだが、ちょっと前から疲れを感じていた。

「私も思ったわ。運動補助は常に発動している訳だし、こんなに疲れを感じるほどの煌霊力(ネイクス)は使用しないはずなんだけど・・・」


ーー気分的な問題だろう。

二人はそう思い、あまりこの話に触れなかった。

「ま、そろそろ帰りましょうか」

「そうだね、送るよ。シェリア」

その時、ある音を耳にする。


ーーポーーピーーポーーーピーポー


多数の救護車のランプ音。

凛人達がいる所から、そう遠くは無い場所から聞こえて来る。

「何かあったのかしら・・・?」

今日は街に多くの学生がいた。そして多数の救護車がその方向へ次々に

向かっている様子を二人は捉えた。

「行ってみようシェリア。嫌な感じがする・・・」

二人は家路から方向を切り替え、疲れを感じたまま走り出した。



「急いで運べ! まだあっちにも数人倒れてるぞ!」

「隊長! これキリがありません! どれだけの人が倒れているんですか!」


二人が現場に着いてみると、そこには緊迫した空気が流れていた。

「な、なによ・・・これ・・・」

シェリアはその光景を目の当たりにする。

ついさっきまで賑わっていた雰囲気とは一変、学生達が様々な症状を訴え

緊急搬送されたり、倒れている生徒もいた。

凛人が倒れている生徒に近づく。

「ーー煌霊力(ネイクス)切れだ・・・」

その倒れている生徒は、明らかに煌霊力(ネイクス)切れだった。

他の生徒も、症状を見るからにおそらく煌霊力(ネイクス)切れだろう。

煌霊力(ネイクス)切れってどう言う事・・・?」

「やっぱり、おかしかったんだよ。僕達もさっきから疲れを感じているだろ?

この感じ・・・煌霊力(ネイクス)を吸収されてる?」

微量だが、時間をかけて、ここに訪れる生徒の煌霊力(ネイクス)を何者かが強制的に吸収している様に感じる。このままでは危ない。

煌霊力(ネイクス)を吸収されすぎて命まで落としかねない、と戦慄する。

凛人達は救護班の隊長に話を試みる。

「失礼します、煌聖学院生徒会の者です。今はどう言った状況で?」

シェリアの顔が広い事で、すんなりと本題に入る。

「急に人が倒れたと連絡が入り、現場に向かってみたらこの有様で・・・連絡をくれた生徒も倒れていました・・・症状的には煌霊力(ネイクス)切れと言った所でしょうか」

凛人の推測通り。

やはり、何らかの理由で煌霊力(ネイクス)が吸収されているのだ。

「でもどうしてこんな・・・・・・ん?」

「凛人?」

凛人の目つきと空気が変わる。

「・・・ごめんシェリア、ちょっと行ってくる。救護班の人達と、ここを頼むよ」

「ちょ、凛人!」


残りが少なくなっている煌霊力(ネイクス)を使い、疾風の様に駆け抜ける。

この量の煌霊力(ネイクス)を吸収するとなれば、そう遠くには居ないとふんだ凛人は、

さっきから辺りを気にしていた。その甲斐があり、人影をつかむことができた。

「くそっ、逃げるの速すぎかよ・・・」

目で相手を確認できる距離。しかしその間合いは中々埋まらない。

凛人は使用する煌霊力(ネイクス)を増やし、更に加速し、間合いを詰めていく。

「おい! 止まれ!」

当然だが相手は見向きも止まりもしない。

「ーーちっ。面倒だな」

瞬間、黒い飛翔体が飛んでくる。

「なっ!」

その飛翔体が凛人の服をかすれる。

今の一発、殺す気で撃った様に感じた。この殺気、どこかで・・・

「あぁ、もう! "これ„使いたくないけどっ」

煌霊力(ネイクス)を足に集中させ、一気に爆発させる。

「ーーなにっ!?」

一瞬で相手の隣につく。

「止まって・・・もらうよっ!」

相手をつかみ、その場に落ちる二人。

「くそっ・・・」

地面に着く前に体制を立て直し、見合う。

ーーーー凛人は目を疑った。

「な、んで・・・?」

相手の手には、闇の覇気を纏った"裂闇の黒剣„があった。

「ったく・・・お前のせいで俺様の計画が台無しじゃねか? 雨宮 凛人さんよぉ? お陰様で煌霊力(ネイクス)を吸収しきれなかったじゃねえ、かっ!!」

闇の斬撃が襲いかかるが、凛人もすぐさま回避をする。

「どうしてお前が裂闇の黒剣(レイトラ=クレイス)を持っている!」

その時、凛人の携帯端末に着信が入る。

「理由は、その電話の主が教えてくれるだろうよ。ククククッ」

着信元は、生徒会長。『アルペジア=セシル・レイフォード』からだった。


『凛人様、落ち着いてお聞き下さい。凛人様も把握しておいでだと思いますが、突然の煌霊力(ネイクス)切れによる負傷者が続出しているのと、もう一つ大変な事が起こりました。

ーー"裂闇の黒剣„が何者かによって奪取されました・・・』

「奪取!? 盗まれたって事ですか!?」


今目の前にある"裂闇の黒剣„は盗まれた物で間違いないだろう。

『現在、総力をあげ捜索にあたっていますがーー』

「会長、ちょっと時間を頂きます。また後で必ず連絡しますから」

『り、凛人さーーー』ガチャっ。


屈伸をし、身体を伸ばし。

喚剣融合(ユニオン)完了(ログイン)。グラディス。

こう言う訳だ。その剣は大事な物なんだ、返してもらうよ」

剣を構え、見合う。

「前に殺しそびれたからなぁ? 今回は殺らせてもらうぜぇぇ!」

殺気。前の殺気の正体がこいつか。

「お前が生きてると、こっちも色々面倒なんでなーーーーっく。やっぱり煌霊力(ネイクス)足りねぇ・・・吸収する量が少なかったか。まぁいい。死んでもらうぜぇぇぇ!」


盗人と凛人の一騎打ち。この勝負、圧倒的に凛人が不利だろう。

なんせ、残りの煌霊力(ネイクス)量が違う。

どう煌霊力(ネイクス)を使うかが鍵となるこの勝負、一瞬たりとも気が抜けない。

「おい、凛人さんよぉ、その足で戦えるのか?」

痛い所をつかれる。

さっき、この盗人をとめる際につかった"バースト„の負荷が足にきていた。

「正直、結構やばいかな。でも、それは返してもらう」

「じゃ、死ね」

鋭い剣技のぶつかり合い。

前回のシェリアとの戦いで対人の戦闘経験があったため、

相手との間合いの取り方、攻撃、カウンターの仕方にキレがでていた。

「ははっ! 中々やるじゃねぇか!これはどうだ!」

たった一振りで、無数の剣撃。

「これは避けられないだろうなぁ!ーーーっく、まだ、だ。まだ出てくるなよ・・・」

「くそっ、ふりきれるか・・・!」

凛人の剣が輝きだす。

百万の剣勢ミリオン・グラディクス!!!」

その剣撃に対抗する数の剣勢。

ぶつかり合い、凄まじい衝突力と衝撃破をうむ。

「ーーなんとか、これは振り切れたみたいだね」

「ほぅ、今のを防ぐか。楽しくなりそうじゃねぇか!」




凛人は相手の様子が違う事を感付いていた。

さっきから攻撃をするにつれ、苦しい表情をちらつかせてきている。

これは、なんだろうか。

「どうした! さっきから苦しそうだけど?」

「うるせぇ! 無駄な口叩くなよ? ブチ殺すぞ?」

「そう、ならやってみなよ。僕も全力で行く」

「はははははははっ! いいぜぇ! この剣で消してやるよ!」



ーーやっぱりな。この盗人、"裂闇の黒剣„に対して相応の容量(スペック)

持ち合わせていない。それをカバーするために、煌霊力(ネイクス)を吸収していたのだろう。

しかし、今にものまれそうになっている・・・

"ルフラージはもう目覚めている„と言う事か。


「くらェェェェェェ!」

黒い覇気が襲いかかる瞬間、それは訪れた。

「まだ、だ! まだ、でて、くるなよ、まーーーーー」


剣が盗人を飲み込み、ありったけの煌霊力(ネイクス)を吸収して、

その存在は独立する。同時に盗人はその場に倒れこむ。

そして独立したルフラージ姿は、前の様なハッキリとしたものではなく、不鮮明な剣の状態だった。


鋭い剣先がこちらに向く。

「またこいつとやりあうのか・・・」

「雨宮 凛人。剣の姿だからと言って甘く見るでないぞ。久しぶりの目覚めが心地よくない事に、腹を立てているのでな」


僕の状態は限界にきていた。

この一撃をかわせるかどうか際どい所だがーーーー

「ごめんね、ルフラージ。君には帰ってきてもらうよ」


暗黒の一線。すばやい爆風と衝撃。そして恐ろしい程の覇気。

その避けようがない攻撃を、


「・・・ふぅ。今のは危なかったな」


あの極限の状態で、凛人は脅威の集中力をもって

"裂闇の黒剣„をしっかりと掴み、手にしていた。


「この感覚、懐かしいぞ。雨宮よ」

「・・・? わからないけど、そりゃどーも」


剣は落ち着きを取り戻していた。

凛人の煌霊力(ネイクス)が、みるみる回復していく。

「すごい・・・」


「凛人!!」

慌てて駆けつけたシェリアが言う。

「こっち側からとんでもない音が聞こえてきたんだけど、大丈夫!?」

「あ、シェリア! 大丈夫だよ! そっちは?」

「こっちもなんとか落ち着いたわ」

続いてセシルも駆けつけた。

「凛人様! お怪我は・・・・・・ってその剣・・"裂闇の黒剣„じゃないですか!」




剣を担ぎ、凛人は笑って発する。

「雨宮 凛人。"裂闇の黒剣„ 回収及び、敵の制圧。完了いたしましたっ」



誤字、脱字等ございましたらご指摘よろしくお願い致します!

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