第9話『光と熱』
次話投稿になります!
私事ですが、試験が無事終了しましたので、
投稿させていただきます!
楽しんでおってくださいね!
※最後の部分のセリフを修正しました(9/25 9:00)
審判の掛け声とともに甲高いシェリアの声も響き渡る。
「喚剣融合! 完了! 禁焔の魔剣!!」
可憐に焔をまとい、剣を振る。
久しぶりにシェリアの喚剣融合を見るな、やっぱり綺麗だ。
凛人は編入時に見た光景を思い出していた。
「さぁ凛人、貴方も特訓の成果を見せてみなさい! 初の晴れ舞台。喚剣融合くらいは待ってあげる!」
シェリアが僕の喚剣融合を促す。
その言葉に続くように凛人の周りに光が生じてゆき、こう言う。
「言われなくてもそのつもりさーーー」
凛人の剣が激しく呼応する。
「ーー喚剣融合、完了、グラディス!」
姿を現した無名の精霊は、徐々に凛人の半身を飲み込んでいく。
そして、凛人の身体には二つの姿があった。
「いくよ。シェリア!」
「来なさい! 凛人!」
光と焔の衝突。
「ハァァァ! 『サクリカル・スラッシュ』!!!」
剣体強化が施されたグラディスが、鋭く、そして重くシェリアに降りかかる。
サクリカル・スラッシュ。叫んでみたは良いけど恥ずかしい。
「あれっ?」
「あれほど注意したのに・・・」
気付けば、前にあったシェリアの姿が僕の背後にあった。
「ちょっと・・・ガッカリッッっよぉ!」
「なっーー」
背後からの衝撃。
背中に熱と痛みが走る。
これが、これが喚剣戦か。
凛人は倒れなかった。すぐさま体勢を立て直し、力強く踏みこむ。
「まだだぁっ!」
喚剣融合時は身体能力が向上するため、
ちょっとした踏み込みでも、とんでもない加速力を生む。
「え、うそっ! 速すぎーー・・・」
シェリアも凛人の加速力に驚きを隠せない。
刹那、シェリアが吹き飛ぶ。
これには会場も一気に沸く。
「あの編入生、シェリアにグラディスでここまで! これどうなるかわからねーぞ!」
「シェリア様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
色々な声が飛びかい、もはや祭り騒ぎだ。しかし相変わらずシェリアのファンはすごい。
「っと、こんな事考えてる場合じゃないや」
その通りだ。考えてる場合では無い。シェリアがこれだけでダウンすると思うか?
すぐさま、その答えはやってくる。
「お返しっよっ!」
「あぶなっ」
その激しい攻防が繰り広げられる。
何度も何度も、繰り返し金属の衝撃音が奏でられる。
その音は、速さのあまり連続して聞こえる。
剣と剣が衝突するにつれ、凛人はある異変に気付く。
「なんか、寒くなってきてないか?」
体感の温度が低く感じる。汗が冷えたのかもしれない。
そんな考えも浮かんだが、その頃には遅かった。
「ーー凛人、覚悟しなさい。とびきりデカイのいくわよ!」
そう、気付くのが遅かった。この会場の気温の変化に。
シェリアと剣を交えるにつれ、どんどん周囲の気温が下がっていっていた。
いや、下がっていったというよりも『吸収された』の方が正しいかもしれない。
勝負が始まってから、なりに時間は経過してきている今。
ここでシェリアは勝負にでる。
「イグニスト、ちょっと無理するわよ。」
少女の半身に存在する精霊は、小さく答える。
「ありがと。 じゃぁ、いくわよ!」
イグニストを通して、シェリアの体内に吸収された熱を
禁焔の魔剣に最大出力で注ぎ込む。
凛人もその光景に戦慄を余儀なくされる。
なんせ目の前には「太陽」そのものの様なエネルギー体があるのだから。
「これはやばいよ! シェリア!」
「死にたくないなら全力で防ぎなさい! 私も全力でいくわよっ!」
「「「「やばいやばいやばいやばいやばいやばい」」」」
その場にいる全員が思う。
『禁焔の魔剣。上限解除』
巨大なエネルギー体が剣の形を成してゆき、今までの剣では無くなっていた。
『禁忌の焔剣。神殺しの一撃をーーー』
そして、その一撃は、その高熱の一撃は会場を一瞬で飲み込んだ。
『神殺しの魔焔』!!!!!
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そこには、焦げくさい空気が漂っていた。
全てを焼き尽くし無に帰しかねない焔は、役目を終え姿を消す。
「勝負、あった、で、しょう?」
体内の熱を使ったシェリアは、低体温症の様な症状をしており、
震えていた。
「しょ、勝負に見入り過ぎて、実況を忘れてしまいました! あの強烈な一撃をくらった彼は、果たして無事なのか!?」
凛人がいたところは、瓦礫の山になっている。
「これは、どうしますか? 先生」
ホープがつい声をもらす。
「ん? 何を言っている? まだ勝負は終わっちゃいないぞ?」
ガラガラッ・・・
瓦礫の山から一本の腕が姿をみせる。
「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」」」」」
「うそっ・・・でしょ・・・」
シェリアも信じられない。
「っててて・・・さすがに煌霊力フルに使っちゃったな・・・」
凛人は戦闘不能になっていなかった。またもや会場が沸く。
「「「「「やべぇよ! あの雨宮とかいうやつ! やべぇよ!」」」」」」
「どうやって、防いだってわけ!?」
「僕の煌霊力をほぼフルに使って、防御壁の生成にまわしたんだ。
あと一歩遅かったら完全に倒れてたよ」
苦笑いで凛人は言う。
「貴方、"ほぼ„って、まだ煌霊力残ってるわけ!?」
「ま、まぁね。でも・・・」
そう言うと、凛人は右手に握っているグラディスをみせる。
その剣は粉々になっていた。
「僕の気の緩みで、この子を壊してしまった。本当に失態だよ・・・」
続けて、
「気の緩みのせいで、実は完全に攻撃を防ぎきれなかったんだよ、ねーーーー」
凛人は膝から崩れるようにしゃがみ込む。
煌霊力切れでは無く、外傷によるダウン。
今回の戦いは、シェリアが一つ上手だったようだ。
「おぉっと、これは意外だなーーーーーー両者、そこまで! 雨宮 凛人の戦闘続行不可能とみなす。よって勝者、シェリア=フレニス・ローズ!」
歓声と拍手が会場を包み込んだ。
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