第1話 『適合者 ・ 喚剣士《ハーフナー》』
初めてましてのかたも!
ゆっくり楽しんでいってくださいねー( ´ ▽ ` )ノ
この物語は2日おきに投稿になりますので
宜しくお願い致します!
1『適合者・喚剣士』
日が地面を反射して、更に僕の身体に反射する。
今日は暑い。と誰もが思う様な天気だ。
鳥は鳴き風も吹きながら時間は過ぎてゆく。
ーーでもどうしてだろう。
『暑い』とは言ったが、この『暑い』は何かが違う。
味わった事のない『暑さ』がここにある。
「絶対これ、『太陽の暑さ』じゃないだろ・・・」
凛人が、重いため息混じりに言う。
ここ<煌聖学院 高等学校>に編入してきた凛人は、前に居た学校との違いを
頭の中に並べて思う。やっぱりこの学校はおかしい。
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僕は中学校までは、ごくごく普通にすごしてきた。
高校に進学し新しい生活が始まるんだ、と希望を抱いていた・・・
・・・と言うのもつかの間、突然家に変な招待状の様な物が届いた。
「煌聖学院? なんだこの学校・・・ 聞いた事ないな。
えー何々?『雨宮 凛人様 煌聖学院への編入試験に合格した事をご通知致します。編入の手続きに関しましては此方側で対応させて頂きますので、ご理解のほどよろしくお願い致します。それでは、お待ちしております。』・・・え。」
突然届いたその手紙には訳の分からない事が綴ってあった。
今在学している高校を辞め、この『煌聖学院』に編入しろ。そう書いてあった。
ーー全く何処のイタズラなんだか。
と言うかいつ試験なんてもん受けたんだよ。
僕はそんな気持ちで手紙を後にした。
次の日、俺は今まで通り学校へ登校した。いつもどうりの道を辿り、
あの坂を下って学校へ行く。なんだ、やっぱりイタズラか。そう思った。
ーーでもおかしいな。人が全く見当たらない。
今日って土日だっけ?
そんな普段感じない違和感を感じながらも
校門の前に着いた。今日もいつも通りの生活が始まるんだ。
「あ、あれ?」
凛人は戦慄した。
学校にひとけが全く"無い„のだ。
そう言えば、周りにもひとけが無い。
ここの通りは人が多いはずだ。学校のみんなもいない。
凛人はその情景を目の前に、足を前に運ぶ事が出来ずにいた。
「ーー雨宮 凛人様。認証完了。通行ヲ許可シマス。」
思考が追い付かない中、唐突に機械音の様な声が響く。
刹那、目の前の学校が複数の光と音を出し形を変えてゆき、
更には周りの風景までをも書き換えていく。
声も出せずただただ口を開けて立っていた僕は、今の状況を把握出来ずにいた。
「煌聖学院へようこそ。雨宮 凛人さん。」
白く煌びやかな長い髪の少女は、天使の様な笑みで笑いかけていた。
「ど、どうも。」
凛人は答える。
「どうも♪」
少女も答える。
「あ、あのここって何処なんですかね・・・? それと、なな、なにが、起きたんですかね?」
「ん?あぁ申し訳ありませんっ。」
当たり前の質問をし、当たり前のような返答をする。
この今の状況を省けば、ね。
「申し遅れました。煌聖学院高等学校2年『アルペジア=セシル・レイフォード』
この学校の"生徒会長„を務めております。よろしくお願いしますねっ。」
セシルはまたもや天使の様な笑顔で自己紹介を済ます。
とりあえず僕も自己紹介はしなきゃな、と凛人は声を出す。
「雨宮 凛人です。よろしくお願いします。」
お互い社交辞令の如く挨拶を交わし、話は問題に入る。
「では凛人様、こちらへ。この状況と学校についてお話しがありますので。」
セシルと凛人はゆっくりと歩き出した。
しかし、どうもやっぱりこの状況に慣れる事が出来ない凛人はなかなか話を切り出す事が出来ずにいた。それに凛人の横には、見た事もない美少女がいるのだからなおさらだ。
そんな凛人を察したのか、セシルが優しく話を始めた。
「凛人様? まずは肩の力を抜きましょうか。そんなに心配しなくても何もしませんよぅ♪
あ、突然ですが今から凛人様には学院長にお会いして頂きます。そこで全て分かるでしょう。」
「学院長に、ですか。」
よし。まずはここの学院長に話が聞けるんだな? これでまず少しはスッキリするかな。
とにかく早く学院長に会いたい。そして問い詰めるか。
このあとの予定が確立化した凛人。やっと頭の中が落ち着いてきたことにより、考えると言った様な行動が可能になってきたことが分かる。
と言うかいつまで歩くのだろうか。もう結構歩いている様な気がしてならないのだが、どうなっているのだろうか。しかも不思議な事に疲れを全く感じない。
んー。本当何なんだろうここって。
同じ様な疑問が頭の中をグルグルグル縦横無尽に動き回る。
気づかないうちに、今の頭の中のように視界も周りを見渡していた。
見た事のない綺麗な建物が沢山たっていて、その数々の建物に飲み込まれてしまいそうになる。本当に綺麗だ。
「あ、やべっ・・・」
凛人の近くにいたはずのセシルが消えている。
急いで周りを見回してみるが、もうそこにはセシルの姿はなかった。
そう、いわゆる迷子と言うやつだともう。いや、『思う』じゃなく『ガチ迷子』だ。
ただでさえ物凄く広い所に初見できているのに、不覚にも迷子になってしまったこの状況は
相当まずいと思う。
「とりあえず辺りをまわって人を探そう。こんな広い学校なんだし、人は必ず居るだろう!」
淡い期待をしながら辺りを探ってみる。
「セシルさーん! いませんかー! セシルさーん!」
セシルを呼んでみるも反応はない。
ましてや気味が悪いほどに人影も見当たらない。
凛人の周りを静けさが包み込む。どーしたことやら・・・
おもむろに空を見上げてみると、綺麗な赤い太陽が上がっていた。
「しっかし今日は暑いなぁ。ぱっと見あんまり暑そうな太陽じゃないのにな。」
なんか変な暑さの様な気がしてならない凛人はこう思い始めた。
ーーこれ、本当に太陽だけの暑さなのか。
何かが違う様な気がしてならなかったが、こんな事を考えるよりも先に人を探さなければならないのを思い出し、また歩みを始める。
「 ・・・ン・・・・・・ドドドン・・・・・・」
ちょっと先から爆発の様な音が聞こえた。
凛人は人がいるのではないのかと思い、走ってその場所へ向かった。
音が近ずいてくる。走って走って走って行き、音のする所に近ずいていく。
「この先の曲がり角を曲がった所に違いない!」
凛人はそう思い、一気に角を曲がった。
その瞬間甲高い声が響きわたる。
「あぶない‼︎‼︎‼︎」
「えっ・・・」
凛人は巨大な火炎の斬撃にぶつかり、盛大に跳ね飛ばされて意識を失った。
ーーーーいい香りがするーーーー
ーーーーーーーーなんか頭の方がやわらくて気持ちいいなーーー
そこで、雨宮 凛人の意識は覚醒する。
「あれ・・・僕、どうして横になってるんだ・・・しかも見た事も無いような物が飛んできて・・・」
「あ、起きた起きた! 君、だ、大丈夫?」
赤い瞳の少女が凛人を覗き込み、聞いてきた。
「ん・・・君、誰だ・・・? っておわぁっ!?」
やっと今の状況を把握した凛人。
あの頭の柔らかい感触。そう。膝枕だ。
初めてされた膝枕に動揺をかくしきれないのと、
その相手がまたもや美少女だった事にもびっくりしている。
「べっ、別に、しょうがなくしてあげただけなんだからね!この変態!」
「ご、ごめん!そんなつもりじゃ・・・」
変態呼ばわりはさすがにきついから、誤解を解く。
「私が"喚剣戦„の練習をしていたら急に出てくるもんだから、本当にビックリしたんだからね!だから吹っ飛ばされたのよ!君は!」
少女が凛人に言い寄る。
「君、ちょっと、なんかどんどんちかくなってるよ!」
思わず耐えられなくなった凛人は、これ以上近ずかないよう手を前に突き出す。
ーーフニッ。
「ーーーッ!?」
僕の手は、その少女のちょっと残念な胸にダイレクトに当たっていた。
あぁ、終わったな。凛人はそうおもった。
さすがに凛人もこの事故にはテンパってしまう。
「ああ、いや、その、いまのは事故で!」
さらにテンパってしまった凛人は、何故か身体のバランスを崩し
少女もろとも倒れてしまった。
「キャッ‼︎⁇」 「のぁッ!?」
不安定に倒れた二人は見事なまでに絡み合っていた。
「・・・こ・・・の・・・・・・・・・」
「あ、いや・・・」
『へんたあああああああああいッッ!!』
突如、その叫びに反応したように、まわりの温度が急激に上昇していく。
気付けば少女の背後に、見た事の無いような『精霊』の様なものが姿を現していた。
まさに『炎の化身』そのものだった。
ーーボウッと音を立て、神々しい焔の剣が現れる。
「お願い!"イグニスト„!!!!」
その"イグニスト„と呼ばれた精霊らしきものは
少女の身体の半分と融合し、炎を纏う。
半人半霊・・・といった所だろうか。
その姿は実に美しく、何とも言えない光景だった。
美しくも、その儚げな少女は、紅き焔の剣を手に取りこう言った。
「喚剣融合。 完了 。 ≪禁焔の魔剣≫」
続けて言葉を重ねる。
「あなた、名前は。」
「雨宮 凛人だけど・・・」
訳がわからず、つい答えてしまった。
「いいわ。雨宮 凛人! 」
ーー我、『シェリア=フレニス・ローズ』の名の元。
この神聖なる真実の剣に誓いて、雨宮 凛人に
喚剣戦を申し込む!
『当然。受けてくれるのよね?』
可愛げの無い、その冷徹な響きの言葉は
今の凛人にとっては、全く別次元の言葉だった。
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