『けもみみさんとあそぼう!』の反省会+次回の企画会議(小説調)
『けもみみさんとあそぼう!』の反省会をはじめまーす!
※今回は小説調でございます。ちなみに非公開です。
~《けもみみさんとあそぼう! 舞台裏 反省会+次回の企画会議》~
倉本蒼「はい。司会代理の倉本です。作者に代わって、反省会兼次回の企画会議を開催しますよぉ」
メディア「いえーい! ……だれ?」
倉本蒼「日記を書いた張本人、といえば、わかりますかねぇ」
こずえ「あの日記を書いたのは、倉本さんだったんですね」
倉本蒼「はい。では、まず、反省会です。作者が、PVや評価数などを見て、大衆向け作品を意識する場合はどうしたらいいか困っているそうです。思いつく限り、今回の作品の、大衆作品としての欠点を挙げて下さい。私はそういうビジネスの方面に疎いので……」
ディエス「営業、苦手らしいしな」
倉本蒼「はい」
メディア「わかんない!」
倉本蒼「はい?」
こずえ「キャンバスさんは?」
倉本蒼「大人の事情で欠席です。そのため、私が代役になりました」
こずえ「はぁ」
* * *
ディエス「じゃあ、アタシから。軽くする意気込みはいいけど、台詞ばかりで情景や心情があまり見えてこないのが、いちばんの問題点じゃねえか? 特に、もう少し序盤の心情描写を濃くしねえと、誰も感情移入できねえぞ? あと、感動を誘うシーンで、死について語るのは、全年齢向けとしてどうなんだ? まあ、そんなとこかな」
倉本蒼「はい。私が見たところ、『最低限の描写』の匙加減は、非常に難しいです。後の祭りですが、三人称でもよかったかもしれません。心理描写は、テンポを阻害しない程度に増やすべく再検討すべきでしょう。ラストの描写は入れるか迷いましたが、作者曰く、これを入れないで読み返すと薄っぺらに終わってしまう感じが強かったため、ねじ込んだそうです。ほかにクライマックスの描写として適切な案があればよいのですが……万人受けする結末、ありますかねぇ」
ディエス「うーん、そうそう想いつかねえな」
倉本蒼「では、次回の会議に、後回しにしましょう」
こずえ「あの、いいですか?」
倉本蒼「はい」
こずえ「キャラクターは、もう少し色濃くすべきでしょうか? わたし、薄っぺらいですか?」
ディエス「薄っぺらいとしたら、作者のせいだから、気にすんな。キャラクターといえば、あれだ、私小説みたいな、内面がにじみでてくるような感じで書いてみたらどうだ? やはり、もっと心情描写を丁寧にして、感情移入しやすくするのがいいんじゃないか?」
倉本蒼「ひとつ反論しますと、形式的に書いたからといって、内面が発露しないとは考えにくいのではないでしょうか? というのも、キャラクターは、たとえそれが本来内面のないドロイドや人工無能でも、内面は間接的に発露するのではないでしょうか。なぜなら、ロボットは技術ですから、マクルーハン的な考え方をすれば、人間の身体の一部で、媒体です。すなわち、主体はいつでも人間です。したがって、いかなるキャラクターでも、役者が間接的に内面を表現している点で、内面の発露は実現していると考えられます。そうはいっても、台詞だらけの序盤は、次回以降、見直すべきだと想いますがねぇ……」
メディア「呼んだ?」
倉本蒼「いいえ?」
メディア「あのね。もっと楽しくて、ぱっと忘れちゃうような、そういうお話じゃだめなのかな?」
倉本蒼「個人的に、ポストモダニズムには、いささか懐疑的ですが、大衆に合わせるなら、そうなりますかねぇ。ビジネスとして書くなら割り切るべきでしょうが、お金をとるための作品ではありませんから、ビジネスではありませんね。もっとも、商業小説それ自体が悪いわけではありません。そうではなくて、『出版物』の役割の多様性や、『読む権利』を考慮すると、そういう娯楽=気晴らしや『スペクタクル』中心の商業小説ばかりが読者の選択肢に増えてしまうことを避けるべきではないでしょうか? とはいえ、例えば、『ファッション的消費』主義の視点や、『反知性主義』的視点で作品が選別されるようでしたら、作品の中身以前の問題ですので、どうにもなりませんが……」
メディア「難しくて、ぜんぜんわかんないや。やっぱり、ボクでもわかるような、簡単な描写のほうがいいと思うんだ。哀しいお話より、夢がたくさんあって、笑って楽しめる、そういうものがいいな」
ディエス「アタシも同じ意見だな。知識をひけらかしても何にもならねえ」
倉本蒼「そういう考えが主流なのでしょうかねぇ……。ほかには?」
ディエス「ジャンル関連は、こういう場で発表する以上、作風を変えて大衆に合わせる以外、もう、どうしようもないんじゃないか?」
倉本蒼「それはまあ、そうでしょうね」
こずえ「まとめますと、心情描写や情景描写はあまり削らずに、また、暗い描写は最小限にして、読者のみなさんが『体験したい!』と思う作品を書くことでしょうか」
倉本蒼「ふむ。商業作品なら当然、それ以外なら、ひとつの主義でしょうか」
ディエス「作品が誰にも読まれなければ、何の価値もねえからな」
倉本蒼「1人にでも読まれれば、少なくとも、価値と影響力を持つのではないでしょうか」
メディア「うーん……うーん……」
倉本蒼「では、こずえさん。私が作成した、会議のメモを作者に渡しておいて下さい。以上でお開きにします。ありがとうございました」
こずえ「はい、わかりました。ありがとうございました!」
* * *
こずえ「……と、いうわけです!」
賀茂川家鴨「メモが見たことない字で書いてあるのですが……」
こずえ「ええっ! うわ、なんですかこれ!」
メディア「うん。ミミズみたいで、わかんない!」