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十五話:太陽の黒涙対策復興構想会議(第一回):議事録







ベアテインスラ・レギラアウラ地方大災害(通称:太陽の黒涙)対策復興構想会議(第一回):議事録(一部抜粋と注釈を加筆)



1.開催日  :ティダス歴451年育種月十四日(*注釈:災害より一ヶ月後)


2.場所   :聖都元老院議事堂4階大会議場


3.出席者  :(*重要人物のみ抜粋)

   議  長  パエトーン(*聖都議会代表議長、名前は長い為以下全員略称)

   議長代理  ノビリタス(*聖都議会副議長)

   委  員  ベアトリア(*ベアテインスラ領公爵、被災地代表)

         レギラウヌス(*レギラアウラ領公爵、被災地代表)

   特別顧問  プロド(*プロダリス領公爵、ユタの後援者)

   聖都教皇  プラエシピオ(*サルボ教会最高責任者)

   守備隊長  エクィティム(*聖都守備隊統括責任者)

   騎士団長  グラジオラス(*アシグネ)

   重要参考  フェリクス(*リリィ)

         (以下各領地代表者と元老議員や学者勢は名称略)

         総勢三十一名



 (議事次第省略)



○聖都教皇プラエシピオ(以下教皇)  それでは、これより第一回「ベアテインスラ・レギラアウラ地方大災害対策復興構想会議」を始めますが、開催に先立ちまして、このたびの大災害における被害により犠牲となられた方々の安らかな眠りをお祈りする時間をいただきたく存じます。御起立をお願いいたします。


 (祈祷)


○教皇  ありがとうございました。御着席ください。

○聖都議会副議長ノビリタス(以下議長代理)  それでは、まず会議の開催に当たりまして、聖都議会代表議長より皆様方にごあいさつを申し上げます。議長、よろしくお願いします。

○聖都議会代表議長パエトーン(以下議長)  今日は災害対策復興構想会議ということで、その第一回ということになりました。ノビリタス副議長を始め、議員の皆さんには私から――中略――まさにこの大災害は、かつての大ティダス帝国の首都である聖都ソルコンシドにとって、本当にかの悪魔大戦後の百年の中で最も大きな危機であることは、皆さんも同じ意見であると思います。それと同時にこの危機を乗り越えて、どのように聖都を、ベアテインスラとレギラアウラ地方を再生させていくか。今からの皆さんとの議論がその始めの一歩になるだろうと思っております。別の機会に私が申し上げているんですけ――中略――それと今日は大きな被災を受けられた各領地公爵家の方にも御参加をいただいておりますけれども、そうした地域の皆さんの声をしっかりと受け止める。そういうことが必要ではないかと思います。しかしながら一方で、現在はもはや人類全体の危機でもあります。こうした事態に、あくまでやむ負えぬ措置として、皆様に共和制の超法規的な協力を求めることもあるかと存じます。あえて申し上げれば、人間の尊厳、存亡のために皆様がなにをできるのか、そういったところまで深く、これからの未来について方向性を示して頂ければと思っております。人のため、世のため、皆様のご協力をお願い致します。


 (一同合意)


 それでは今回の会議において、特別顧問を受けて頂いたプロド公爵より、ご挨拶をお願いいたします。

○プロド公爵  特別顧問を承りましたプロドでございます。先日、パエトーン議長よりお話をいただいたおり、私はもう齢を百二十も越える歳でございますから、一度は辞退を申し出ようと思ったのですが、かの聖女フェリクスさんより、今回の被害状況を聞きまして、老骨にムチ打とうと思った次第でございます。

 思えば私はかつての悪魔大戦に参戦しておりましたが、当時は国と国で分かれ人類同士でも争いが絶えない時代でございまして、そんな中悪魔と戦い自国、当時の大ティダス帝国ですな、それを守ろうというような気概は持っておりませんでした。そして栄光時代首都の人口が一千万人を越えていた超大国は、四百万人という犠牲者をだし大敗を喫したわけでございます。その光景を私は忘れようもありません。この聖都ソルコンシドも奪われてやっと、人類はお互い手を組み共和制を築いたのでありますが、それからは悪魔との戦いに怯える日々でございました。それでも悪魔との戦いは、たとえその身を食いちぎられようが、亡骸は残りますので、墓を作ることができました。

 しかし此度の災害は、黒い泥にまみれた遺体はいずれゆっくりと跡形もなく消えるとの報告でした。

 私にとってそれほど恐ろしいことはありません。

 私はこの事態を必ずや収束せねばならないと決意いたしました。

 そして、人にはそれができると信じております。

 不可能と言われた聖都奪還でさえ、一人の英雄の登場により達成できたのですから。

 私はかつてこれほど、人類の可能性を信じる気持ちになったのは初めてでございます。

 今私は、この命を人類に捧げる覚悟でございます。

 被災地の現状を聞くに、そうした精神の芽生えが、着実に始まっている。

 そう思いみなさまとこの危機を乗り越えたいと願っております。

○議長  ありがとうございました。ではまずこの会議進行における基本方針ですが


 ――中略――


○ベアトリア公爵  では自治領に対する情報公開はその方針ですね。承知しました。

○重要参考者フェリクス(以下リリィ)  あの、ちょっとよろしいですか? 

○議長  なんでしょうか。

○リリィ  先ほどから議論されている話を聞いていましたが、「ただの復興ではなく創造的な再生」ですとか、「チームワークを持って合理的な対処を目指す」ですとか、聞こえのいいお言葉が出ているのは大変結構なのですが、たとえば前言されていた聖都守備隊の増援を五千人すると決めていたことついて、その組織代表者がこの場に二人もいらっしゃるのに、彼らの意見を一度も聞かずに決定した理由はなんでしょうか。その五千人という数字には、運用について専門家の意見もなしに具体的なプランをご提示願えるのでしょうか。

○騎士団長グラジオラス(以下アシグネ)  聖女様、いいのです。そもそも我々守備隊がこの場にいること事態、異例のことなのです。議事録も残りますので、発言には……。

○議長  えー、まこと今おっしゃった通り、通例、守備隊の方々には会議には参加せず、議会の決定については再度守備隊側で検討する形をとっております。これは政治的に非常にデリケートな問題でありまして、ただ今回例外的に迅速な情報共有が必要と判断されたために、お二方に参加いただいている次第であります。

○レギラウヌス公爵  その通り。彼らは我々の決定を聞くためにここにいるのです。会議において軍人に発言権など……。

○議長  聖都守備隊です。レギラウヌス公爵。

○リリィ  迅速な対応ですか? 今何日か皆様忘れていらっしゃるのでは? 災害から、すでに一ヶ月経ってしまっているんですよ。その間、現地で被災者を支えてきたのは守備隊の方々と無償で協力している冒険者の方々です。さっき幸いにも暴動が起きなかった、これは聖都議会の誇りだなどと言っていましたが、あたかも政治の手腕のおかげであるように語るのはやめていただきたい。最悪の状況を回避できたのは民衆一人ひとりの賢明な判断のおかげです。あの混乱した情勢の中、確かに正解を選ぶことは困難でしょうが、それにしたって、こうした公式な記録が残る会議をするだけで一ヶ月もかかったんですよ。これが行政の怠慢でなくなんなのですか。なぜ、少なくともこの場の誰よりも救援活動の運用について詳しい彼らの意見を聞かないのですか? 

○教皇  フェリクスさん。お静まりください。確かに、聖都が今回の災害を地方の問題とみて、現状の問題続きの聖都におけるインフラ損壊を優先していたことは否めません。しかしどのような問題も、必ずや解決すると確信しています。神は我々人類に救世主を授け賜りました。英雄ユタ・クレメンスです。彼は絶対に帰ってきます。祈りなさい。そして、すべての人々は救われるでしょう。

○リリィ  権力の保持や奇跡に縋るより、私は現実的な解決を望みます。


 (リリィが席を立ち退出する。アシグネがそれに追従する)


○議長  あー、皆様、お静かに。会議を一時中断します。


 (会議中断)










次回からは普通に戻りますので安心してください

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