表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/23

魔王様とスライム

 このままでは経験値にされてしまう! 

 そう魔王は焦っていた。

 現在、森の中に魔王はいた。


 正確には、ピンク色のスライムに化けていた。

 スライムとは、ゼリー状のぷにぷにとした魔物で、魔物の中では最弱の部類に入る。

 因みにオスライムとメスライムがいるが、現在魔王の性別は男なのでオスライムになっていた。


 そして、本物のスライムならこうだ! という職人的な思いから魔王は無力な最弱モンスターであるスライムになっていた。

 初めの内は、城から離れてぷにぷにな感じで飛び跳ねながら移動するのも楽しいな、空気も美味しいし、と、楽しく散歩をしていたのだ。

 だが……途中から狼のような魔物に遊び半分で踏み潰されそうになったり、子供の魔物に遊び半分で捕縛されそうになったりと散々な目にあっていた。


 そしてどうにか逃げ切って、もうスライムでいるの嫌だと思ってもとに戻ろうとしていたのだが、スライムレベルに能力がなっていたので元に戻れなくなった事に、その時になって魔王はようやく気づいたのである。


 どうしよう、そうおたおたしている所で、草むらから一人の人間が現れた。

 金髪に、青い瞳をした綺麗な少年。

 どこかで見たことがあるような気もしたが、そんな彼に見惚れてしまう。

 だが目の前の彼はすっと剣を向けてくる。


 現在魔王は非力なピンク色のスライムである。

 なのでビクビクと震えるしか無いのだが、ここで唯やられるのを待つだけなんて魔王の矜持が許さないとその少年の足に体当たりを食らわす。

 だが、魔王スライムは少年の足にひっついただけだった。


 他に、他に何か能力はないのか、そう焦りながらなにかこうすればいいのでこうしてみた。

 少年のズボンが少しだけ溶けた。

 こんな能力しか無いのかい! と、突っ込みたい衝動に駆られながらも魔王は他に何か手がないのかと思うが、それ以外なさそうである。


 終わった、完全に終わった、積んだ……スライムに目がないので心の中で魔王は泣いた。

 と、そこで笑い声が聞こえる。


「お前、弱いんだな」


 その声の主は目の前の少年のようだった。

 そして彼は剣を収め、魔王なスライムを抱き上げたのだった。









 まずどうして魔王がスライムになっていたのか、について。


「最近暇だな、そう思わないか?」

「ふにふに」


 そう、玉座に座りながら友達の水色のスライムに魔王は話しかける。

 魔王は名をリアという。

 長い銀髪に、アメシストの様な紫色の瞳をした美貌の男性である。


 そして魔族の王である。

 そんな魔王様ではあったのだが、現在とても暇だった。

とはいえ人間と魔族の国境線でいざこざが発生し、人間の国でいらないと言われていた第二王子が勇者として担ぎ出されたらしいと聞いていたが、人間の城からは遠い魔王城は平穏そのものだった。

 なので、以前助けて以来友達のオスライム(オスのスライム)と魔王は話していたのだが、真面目に仕事はしているものの代わり映えのしない日々に飽き飽きしていた。


 そして、勇者を撃退してもいいのだが、あまり事を荒立てたくないという魔族、王族の事情もあり、形骸的な形で勇者と魔王は戦うこととなっていた。

 ぶっちゃけ茶番に近かったのだが、それでも危険があるとのことで、人間も王の一番身分の低い妃の息子である第二王子が勇者として魔王の城を目指しているという。

 ただ上がってくる情報を見る限りこの勇者、随分と優秀な人材のようである。


 そんなに人間側で恵まれないなら、こちらで引き取れないかと魔王は算段していたりしていたのだが、側近の、宰相であるウィズと軍師のケイトの二人に反対されてしまった。

 もっとも魔王は諦めていなかったが。


「全く優れているのなら、その能力を活かせばいいのに。まあ、最近は人間の奴らも能力主義にはしっているようだが、結局は楽に成果の出せるものはやって、成果の出しにくい難しい仕事は部下達といった立場の弱いものに押し付けているようだから、どうだか。ああ、そうか今はお前と遊んでいたのだな」

「ふにふに!」


 魔王が相手にしないとこのスライムは怒るのである。

 このスライムは、以前他の魔物に遊び半分で倒されそうになっていたところを助けて以来の魔王の親友だった。

 魔王自身他にも友達が欲しかったのでその宰相のウィズと軍師のケイトにお願いしてみたのだが、魔王という立場上、恐れ多くてと言いつつも何故かギラギラとした瞳で二人は“お友達”は駄目だというのである。


 宰相も軍師もどちらも魔王の幼馴染なのだが、昔から魔王を見ると二人して逃げ出してしまうのである。

 そのくせ、遠くからずっと魔王の様子を見るだ。

 というわけで孤独だった魔王の親友にそのスライムがなったのは、必然のようなものだった。

 しかも魔王リアはペットとは言わず親友にしてしまったそのスライムと、二人だけの秘密があった。


「実はまたお前にお願いがあるんだが、いいか?」

「……ふにー」

「い、いいじゃないか。当分の仕事は全部片付けたし。だから……駄目か?」

「ふにー……ふに」

「ありがとう! さすが私の一番の親友!」


 それにスライムは照れたように、ふにーと鳴いた。

 そして両手の平に親友のスライムをのせて、魔王はスライムにキスをする。

 するとスライムがもこもこと膨れて、やがて魔王と同じ姿になる。


 スライムの能力の一つである擬態で、相手の同意を得てスライムにキスをするとその姿になれるのである。

 スライムは魔族の中でも最弱なのだが、こうして人や魔族等の姿を借りる事によって、その擬態した相手と同じような能力や幾ばくかの魔力を手に入れたりできるのである。

 但し、この最弱スライムに自分の姿や力を分け与えたいと思うもののほうが皆無なのであまり使われないので、その能力自体が皆に知られていなかった。


 そしてスライムで有名な能力は、媚薬効果の液を貼り付けるのと、葉っぱなどを食べて分解して魔力として吸収する関係上、服をも溶かす能力である。

 ちなみに服を溶かす粘液は、人間や魔物の皮膚に特に影響はない。

 そんなスライムはある意味で使うために重宝されていたのだが、感情を持っていたり、魔物としても会話できるのもあって、ストレスが強いと溶けて消えてしまうので飼うのは難しいと思われていた。


 なので一般的には森で捕獲してきて、用が済んだり弱ってきたら森に帰して個体が減らないようにされていたりしている。

 そんなスライムの事情は横に置いておくとして。


「じゃあ、よろしく」

「もう、魔王様、僕にはキャリーという名前があるんです!」


 人型になったキャリーは人間の言葉を話せるので、スライムの言葉を訳すよりは楽でよかったのだが、そう言われて魔王であるリアは、


「だったらキャリーもリアって呼んでくれてもいいじゃないか」

「……リア」

「そうそう、そう呼んでくれないと、キャリーは親友だし」


 魔王が微笑むと、魔王の形をしたスライムであるキャリーは頬を赤く染めた。

 けれどすぐにキャリーは、


「それで今日はどちらに魔……リアは行かれるのですか?」

「敬語……まあいい。そうだな、今日はスライムになって、森を探検してくるんだ」

「! 危険です、おやめください、魔王様!」

「名前で呼んでくれないキャリーの言うことは聞きません! というわけで、さらばだ!」


 そう言って、リアはかけ出し窓から飛び降りてキャリーから見えなくなってしまう。

 それを見送ったキャリーは、


「あ、魔王様っ! もう……でも魔王様だから、大丈夫だよね。さてと、計画を実行しましょうか」


 キャリーがそう呟くとともに、宰相のウィズと軍師のケイトが現れたのだった。










 そして、森でスライムになった魔王リアは、遭遇した少年にお持ち帰りされたわけだが。


「勇者様、そんな弱小モンスターを連れて帰って来てどうするんですか」

「こいつ、俺に弱いくせに立ち向かってきたんだ。その強さが、俺は気に入ったんだ。それに名前で呼んでくれって言っただろう」

「ですがアレン様、そうは言ってもそれは魔物です!」


 僧侶コニー(男)が怒ったように言うが、そこで魔法使いのベネット(男)が、


「まあまあ、それほど害のない魔物ですし、そういった優しい所もアレン様のいいところではありませんか」

「でもベネット、もしかしたなら魔王側の何かの罠かもしれないじゃないか!」

「これが? このスライムが? このプニプニスライムが?」

「……すみません、神経質になりすぎたかも」

「でしょう? とはいえスライムってストレスに弱いらしいですが……育てるのが難しいので、飼い主に合うか会わないかが重要になってくるそうなのですが……」 


 そこまで言いかけて、勇者になつくピンク色のスライムを見た。

 楽しそうに勇者にぷにぷにされながら懐いている。

 ちなみにこの時魔王スライムなリアが何を思っていたかというと、優しいし、綺麗だし、見た目も好みだし大好き! と一目惚れさながらなことになっていた。


 そんな仲睦まじい一人と一匹の様子は何処かほのぼのしてしまう。

 こうして、魔王スライムは何とか安全な場所を確保できたのだった。








 そんなこんなで、魔王スライムは勇者アレンと遊んで懐いていたのだが、魔王スライムは勇者の方に乗っかり勇者アレンの金色の髪をはむはむしていたのだが、


「こら、髪で遊ぶなよ」

「ふにふに」

「お前可愛いな、なんか親友って感じがする」

「ふに」


 そう言われて魔王スライムも、そういえばキャリーもこんな感じだったのかと思う。

 思えば随分と懐いてきていたが、今どうしているんだろうと不安を覚える魔王スライムなリアだったのだが、そこでじっと勇者アレンが魔王スライムなリアを見て、


「お前も魔物だからもしかして知っていたりするかな?」

「ふに?」

「……昔森で会った、すごく綺麗な人型の魔物がいるんだ。俺、その人のことが忘れられなくて……もしかしたなら、お前、知らないか?」

「ふにー、ふに!」

「ああそうか、特徴を言っていなかったよな。えっと、サラサラの長い銀髪で、紫色の瞳をした男の人なのだけれど」

「……ふにー」


 魔王スライムなリアは考えてみるが、自分以外にそんな魔族は、確かあの人とあの人とあの人と延々と考えて、男性だけでも十人はいるなと思って、魔族はどいつもこいつも美形なんだと悲しくなった。

 けれどまだ、その色が好きなら元の姿に戻れば可能性もあるかなと思って、けれど、自分は勇者の一番の敵の魔王である。

 どうしようかと考えこむ魔王スライムのリアだが、そこで勇者アレンが、


「ごめんな、スライムが知るわけ無いか。人型の魔族は強いんだものな……本当はこうやって勇者として旅だったのも、初恋のあの人にまた会えたらって思いもあったんだ」


 はにかむように笑う勇者アレンに、魔王スライムなリアはチクリと胸の痛みを覚えたのだった。








 その夜は満月だった。

 満月の夜はほんの少し魔力が増すので、一緒に寝ていた魔王スライムなリアは、魔法を使って元の姿に戻った。


「よ、よかったー、このまま一生スライムかと思った」


 一人でその喜びを味わっていると、すぐ側で眠っていた勇者アレンがうっすらと目を開く。

 けれどすぐに目をみはるように大きく見開き、


「貴方は……」


 魔王リアはどう言い訳をしようかと迷う。

 だが勇者アレンはすぐに起き上がり、


「もしかしてあのスライムに変えられていたのですか?」

「え、えっと、はい……」


 ついそう答えてしまったリアだが、そこで勇者アレンは怒ったように、


「なんて酷いことをするんですか! これからは貴方のことは俺が守ります」


 まさか自分からスライムに化けていました、とか、完璧主義であったがために能力が制限されていたとか、実はあなたが今目指している魔王が私なんです、などとリアはどれも口が裂けても言えなかった。

 言ったら嫌われてしまうかもという不安もあったと同時に、この勇者アレンに守ってもらえるというのも魅力を感じた。


 魔王よりも強い魔力を持つような生き物は魔族の中にはいなかったから、守るなんて言葉は言われた事がない。

 だからそんな風に言われたのは初めてで、その言葉は魅力的過ぎて魔王リアは頬を染めながら嬉しそうに微笑み、


「え、えっと、ありがとうございます」

「いえ、初恋の相手ですから!」


 真っ直ぐな目で見つめられて、魔王リアは罪悪感で一杯になったのだった。







 そしてなんやかんやでばれずに魔王城まで来てしまったリアだが、いまだに自分が魔王だと告げられずにいたのだが、


「それで淫乱ピンクは魔王の城に随分詳しいみたいだね」

「だから淫乱ピンクと呼ぶな!」

「だってピンク色のスライムなんて、厭らしいものだったんだから仕方がないでしょう?」

「うぐっ、で、でも……」


 僧侶のコニーは、魔力の属性が反対であり、特に純粋な魔力を持っているためか僧侶なりに感じる部分があるのだろう、魔王だという事を隠しているはずのスライムから元に戻った、魔王なリアを信用していないようだった。

 なのでよく喧嘩していたのだが、そこで勇者が魔王リアを、魔法使いのベネットが僧侶コニ―を後ろから抱きしめた。

 コニ―が頬を染めて俯き加減で大人しくなる。


 そして魔王リアも、そうされると何となく、それ以上喧嘩する気がなくなるというか満たされてトロンとなるというか。

 正体が人型魔族だとバレて以来、勇者は初恋の人だと言って大事にしてくれている。


「貴方が好きなんです」


 告白されて返事を待ってもらっている状態だが、未だにどうすればいいのかリアは迷う。

 そんなこんなで魔王の城を進んで行ったリア達だが、ようやく魔王の玉座がある部屋までやってくる。

 そこでざざっと宰相ウィズと軍師ケイト、そして友達なスライムのキャリーが涙目で現れた。


「魔王様~、ようやく帰ってきてくれました!」


 魔王リアと同じ格好をした少年がリアに抱きついた。

 その様子に魔王は頭を撫ぜながら、


「ごめん、心配をかけたな、キャリー」

「うう、もしかして三人で魔王様を襲おうと計画したのがバレたのかと思いました」

「……え?」

「魔王様のことが僕達三人好きなので、魔王様は自分より強い相手としか結婚しないって言うので、そのための罠も仕掛けたのですが……一向に魔王様帰ってこないし、無事でよかったですぅ―」


 突然とんでもない計画が、魔王リアのもとでバラされた。

 確かに魔王リアは自分でそんな話をしていたのを思い出した。

 もちろん冗談ではあったのだが。


 しかもキャリーは現在魔王リアと同じ男性の姿をしているのである。

 魔王リアにはナルシストな趣味はないので、更に引いてしまう。

 そしてこの三人が魔王に対して劣情を抱いているのも分かったのだが、そこで、勇者アレンが、


「魔王、だったのか?」


 そう問いかけられて、魔王リアはびくりと体を震わせる。

 とうとうばれてしまったが、軽蔑されてしまったらどうしよう。

 そんな不安を抱えながら、魔王リアは恐る恐る勇者アレンの顔を見ると、まっすぐに魔王リアを見つめている。

 だからか細い声で魔王リアは、


「えっと、はい」

「わざわざ俺達の偵察をしに?」

「いえ、スライムになって遊んでいたところを、うっかり魔力等をそのレベルに落としたので襲われて、でもそこで勇者に助けられて……嬉しかった」


 にこっと微笑むと、勇者アレンは顔を真赤にした。

 それに気づいた宰相と軍師とスライムの三人は、


「魔王様は渡しません!」

「……今、罠にはめるといった酷い事をしようとしていただろう」


 半眼で勇者が告げると、スライムが変化したらしい少年のキャリーは、


「全部愛ゆえなんです! だから絶対に魔王様はお前のような人間なんかに渡しません! そもそも勇者には実力があるから仲間に引き入れたいと入っていた時からおかしいと思っていたんです!」

「そうなのか魔王……」


 そう言われて魔王リアは、恥ずかしそうに頷いた。

 それにさらに勇者アレンが顔を赤くして、それにスライムのキャリーを含めた三人が怒ったように顔をふくらませて。


「いいだろう、では勇者よ、魔王様とお付き合いしたいのなら……我々三人を倒してみせろ!」

「ちょっ、待て、キャリー……」

「待ちません! ずっと大好きで魔王様だけを見てきたのにこんなポッとでの男なんかに魔王様は渡しません!」


 そうスライムのキャリーは言い切ったのだった。









 結局全員勇者に倒されました。


「え、嘘……だって僕こう見えて魔王様に化けているのも含めて魔王様の側にいたので随分強くなっているはずなのに」


 スライムのキャリーが切なそうに呟いたのだが、正直、魔王としてもこれほどまでに強いと思っていなかった。

 軍師も宰相も二人共倒れている。

 あの二人も魔王の次に強かったはずなのだが……そこで魔王リアは、勇者に腕を掴まれた。


「こんな危険な場所に貴方を置いておけません。連れて帰ります」

「え、いや、私はあいつらよりも強いし。それに私は魔王で……」

「ダメです。ここよりもあちらのほうが俺が守れます!」

「だから私は魔王だからここを離れることが出来ない。でも、私は勇者がほしいな」


 ニコッと笑って欲望を口にする魔王。

 勇者アレンが自分の傍にいてくれたら嬉しいな、デートとかもし易いしと思ったのでそう口にしたのだ。

 けれどそれに勇者アレンの仲間だった僧侶コニ―や魔法使いベネットは反対するが、


「そこのお前達は、もっと高額で雇ってやってもいいぞ」

「「!」」


 魔王なので、その権力でやってみた。

 おかげで二人は懐柔で来たのだが、どんなに好条件を提示しても勇者アレンが頷かない。なので、


「ここでアレンは働いてくれないのか?」

「……俺は……」

「ここで守ってくれてもいいのでは? 代わりに人間の国とのいざこざはこちらで何とかしよう」


 そもそも茶番なのだが、どうやら彼にはその事実が伝えられていないらしい。

 そのあたりも含めて後で説明をしようと魔王リアが思っていると、


「確かにそれならば、俺の役目も全うできる……リアも守れる」

「あ、でも私、勇者アレンより強いんだ」


 だから守るとか、真剣に考えなくていいよと魔王リアは伝えたかった。

 けれどその一言が勇者の癇に障ったようだった。

 なので魔王も勇者と戦うのだが、


「う、うぐ、強すぎ」


 まさかこの勇者アレンが強いとは予想外だった魔王リア。

 そんなリアに優しく微笑みながらも熱っぽくリアを見ながら勇者アレンが、


「さて、負けた魔王にはどうしてもらおうか。このまま連れ帰るか?」

「勇者、待て。待つんだ。ここに勇者がいてくれるわけには行かないのか?」

「だが、リアに惚れたそこの魔族達がここにいるし」

「あいつらに再び襲ったり反抗したりする根性はない! 現に罠を外していたじゃないか。……渋々と言った感じではあったが」

「それは……」

「私はこの城で勇者とイチャイチャして過ごしたい。だめ?」


 魔王はとりあえず色気で勇者を釣ることにした。

 結果、釣れた。

 勇者が顔を赤くして、大人しく頷いたのだった。


 その後、魔族と人間の国の誤解が解け、末永く二人は幸せに暮らしましたとさ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ