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ヤンデレに死ぬほど愛されて眠れないニート

「どうしてこうなってしまったんだお・・・おいらは、おいらはただ・・・彼女が欲しかっただけだったのに・・・。」



肩を落として項垂れたニーソクさんに向かってフォルが聞く。



「・・・・・で? どうして君はごまかしてたんだ?」


「なんでだおね・・・それはおいらにも分からんお・・・。

でも多分・・・きっとおいらのちっぽけなプライドだったんだお。そもそもの始まりは・・・・・おいらが街のやつらに馬鹿にされたときからだったお・・・」



ニーソクさんはそう前置きしてから話し始める。

でもちょっと前置きが長かったからそこは割愛させてもらおう。

それを聞いて、考え込みながらフォルが言う。



「彼女が欲しかった、そして街のやつらには引きこもりの童貞ニートだと馬鹿にされた・・・」


「そうだお。そして、そんなおいらの話を聞いて家に来たのが・・・」


「シュピーゲル、か。」



ニーソクさんは悲しそうな顔でコクンと頷く。



「今では言えるお。アイツはおいらを体よく実験台にしたんだお・・・。

おいらに未完成の惚れ薬を渡してきて・・・飲むかどうかは貴方次第って言って。」


「・・・で、君はそれを飲んだんだね?」


「・・・確かに、それを飲んで外に出たらもうビックリするくらいモテるようになったお。

今までおいらを馬鹿にしていたやつも、みんな一斉に手のひら返しておいらに擦り寄ってきた。

それに文句なんてなかったお。ただ、効果が強すぎてモテ過ぎてしまっていろんな女の子を傷つけてしまったお。

・・・・・・・・いやー、おいらってば本当に罪深い男だお! おっwwwおっwww」



こぶし

フォルセティ(90)・・・36 成功



フォルが何も言わずにダイスを投げ、そのまま結果も見ずに拳を振るう。

その拳はゴスッと音を立ててニーソクさんの顔面に直撃・・・うん、なんか少しすっきりした。


ニーソクさんは蹲って「うぐおぉぉぉ・・・」とうめき声をあげたけど知らない。

痛そうに顔を手で覆って撫でながら話を続けた。



「う・・・そ、それで傷ついた女の子たちはみんなおいらに詰め寄ってきて説明を求めたお。

おいらは超モテてる感じがして全然気にしてなかったんだけど・・・実はそのときに女の子の一部が病んでしまっていて・・・。」


「あっ・・・(察し)」


「そして病んでしまったヤツらは他の子を殺そうとし始めて・・・殺し合いにまで発展しちまったお。

たとえ殺し合いをしてなくてもおいらに手紙や荷物を異常なまでに送ってきて、その内容が異常なものだったりしたお。

他にも何度も監禁されかけたり、心中されそうになったり・・・あと自分の指を切ったのを送られてきたりもしたお・・・。」


「「「うわぁ・・・。」」」


「・・・でもなんで女の子たちは指切って送ってきたのかな?」


「さぁ? 病んでるヤツの考えることなんて、おいらには分からんお。」



これには流石にみんなドン引きだ。

切られた指についてはフォルが説明してくれる。



「そりゃ多分『指切り』だな。

昔は遊女が客に対する心中立てとして、小指の第一関節から指を切って渡したんだ。

・・・でも実際に切る遊女は少なくて、贋物ニセモノの指が出回ったらしい。

そりゃそうだ、別に言うまでもないけど・・・これにはかなりの激痛が伴うんだ。だからコレには『それほどあなたを愛してる』ってことを意味しててね、それを貰う客も遊女の思いに応えるくらいの気構えが必要だったんだってさ。」


「なにそれ怖い。」


「おいらは何てモノ受け取っちまったんだお・・・」


「まぁ女の子が病んじゃったのは分かった。それで?」


「・・・・・・あんまりにも酷いもんだからおいらはシュピーゲルに文句言いにいったんだお、なんとかしろって。そしたら渡されたのがまた未完成の薬で・・・」


「・・・それを飲んだ結果がコレか。」


「うぅ・・・しかも前の薬の効果も消えなかったお・・・こんなの詐欺だお・・・。」



そう言うとニーソクさんはまた泣き始めてしまった。

うーん・・・なんていうか可哀想なんだけど・・・。



「まぁ、事業自得と言わざるを得ないよね。」


「まったくだ。」 「そうだねぇ。」 「あぁ。」



僕らはうんうんと頷いた。



「みんなして酷いおーーーーッ!」



だって本当にそうですし。

というか別に無理してモテなくてもいいと思うけど・・・って、さっきのニーソクさんの発言ちょっと気になることがあるな・・・。



「えっ、モテる薬の効果消えてないんですか!?」


「ん? そうだお?

だからおいらは女の子から必死に逃げて、この街から出ていこうと・・・」


「だったら・・・僕ら危なくないですか!? 

ここに入るのなんて街の人、みんな見てますよ!?」


「「「あっ!?」」」



そう。ニーソクさんは今白い化け物の姿。

こんなのがいたら、みんな別に興味なんて無くても見てしまうだろう。実際、ここまで視線が凄かったし・・・!


これでさっきの話が本当なら、その女の子たちが襲いに来てもおかしくない!

そう気づいた瞬間、下の階からドタドタと慌てたように従業員の人が駆け込んできた。ま、まさか・・・!



「店長! 大変です! 

なんか急にたくさんの女の子達がやってきてニーソクさんを出せって、あと一緒に居た青髪の女について説明しろってーーーッ!」


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