イカサマゲーム
次はちょっとしたターニングポイント? です!
まだまだ続くぞフォルサイド!
『な、なんだそれ・・・聞いたことないぞ?』
『でしょうねー。私も来る寸前にちらっと本で見たぐらいですし。
本当に運がよかったですよー・・・。』
うんうん、と腕を組んで頷く。
いやその・・・まぁ、本当は前から知ってたんだけどね。
ニーソクはやっぱりよく分からない、というように頭に疑問符を浮かべていた。
それを見て笑いながら3人の男性たちが説明してくれる。
彼らは本当に優しいのかもしれない・・・だけど少し警戒はさせてもらおうかな。
「いいか坊ちゃん? ボトム・ディールってのは一番高く評価されてるイカサマの一つだ。
カードを上から順番に配ると見せかけて、実は一番下のカードを配るっていうイカサマ。」
『・・・・・?
それで、どうにかなるのか?』
「まぁその疑問はもっともだな。確かに、コレ普通じゃなんともねぇんだよ。
だがカードゲーム中、数枚の必要なカードを保持しておくのに一番最適な場所はどこだ?」
『えっ? うーん・・・自分で持ってるとか?』
『カストール・・・ゲームは一度ではなく何度もやるかもしれないんですよ?
それに、それじゃすぐにバレてしまうじゃないですか。』
はぁぁぁぁ・・・と、私はわざとらしくため息をついてみせる。
それでニーソクは少し慌てたような、焦ったような顔になった。
『えぇっ!? でも、それじゃ一体どこに・・・』
『・・・・・・・・・木を隠すなら森の中。
つまりカードの中ですよ。』
『へぇっ?』
ニーソクはそれがよっぽど意外だったのか、随分まぬけな声をあげた。
それが面白かったのか、彼ら3人は少し大げさに笑い出す。
「くくっ・・・! そうさ、最初っから仕込んでおくんだよ。
欲しいカードを何枚か一番上か、下にいれとくんだ。」
「そしてディーリングの時に、いつでもどこでも仕込んだカードをそこから配ればいい。
今回のボトムっていうのは、下からカードを配ってるからだな。」
「でも実際これやってみると分かるんだが・・・実は相当難しいんだ、コレ。
これが出来てたってことは、アイツらがそれだけやってきてたってことなんだろうな・・・」
『私が気づけたのは、ディーラーが最初からミスをしたからですね。
コレ、別に仕込んだカードを全て配る必要などないのです。』
『・・・えっ? でもそれだと・・・』
「イカサマが無駄になる、か?
違うんだなー、それが。」
「たとえば4枚仕込んでたけど、実際は3枚しか配れなかった・・・それでもいいんだよ。
スリーカードでも十分強いからな。」
「無理に全部配ろうとしてバレたら全部パァだ。
一発でも他のプレイヤーに不信感を持たれて、そいつの目が厳しくなったら終わりだからな。」
『でもアイツらは私にもう勘づかれてることに気がつかなかった・・・。
だって、私が何も知らないと思っていたんですからね。』
『・・・・・あぁ・・・だから全部やっちゃったのか。
それでポルクスは確信したんだね?』
私はニコッと笑って答える。
『はい! でも最初勝てたのは本当にラッキーでした。
あっ、気づいても言わなかったのは、別にそうしなくても勝てたからなんですよ?』
「まー、アイツらはイカサマしないと勝てないくらいに弱いからな。」
「そのくせボンボンだから金だけはある・・・本当、面倒くせぇ奴らだよ。」
「でもアイツら、噂じゃ相当やばいヤツらと繋がってるらしいぜ? だから誰も手を出せないとか。」
『えっ、そうなんですか?』
素直に意外だ。
「あぁ、どうもそうらしい。真っ黒いヤツらと関わってるところ・・・前に見ていたやつらがいたんだよ。人身売買ってやつなのかな、アイツらは気に入った女達を食っては売ってたらしい。」
うわぁ随分楽で嫌な稼ぎ方だな。
じゃあ本当にやばかったのか私・・・まぁ、捕まったところで逃げてたけど。
そして男性たちは何がおかしいのか、ニヤニヤと笑いながら続けた。
「これでも俺たちは情報には鋭い方でね、譲ちゃんたちにもよかったらいろいろ教えてやろうか?」
「この街は最近、なにかと面白い話題が多いからなぁ。
何から話していったらいいか迷っちまうぜ。」
な、なんて都合のいい!
私は身を乗り出して笑顔で頼んだ。それに彼らは一瞬驚いたけど、ここまで反応がいいと嬉しいらしい。すぐにみんないい笑顔になった。
『はいっ! 是非聞いてみたいです! 教えてください!』
「ガッハッハッ! そうかそうか! じゃあ教えてやろう!
まずはそうだな・・・一番最近の『狂気の魔術師、ベルガモット』あたりがいいか?」




