探し物はなんですか?
見つけにくいものですかー?
これでアルルートもいったん終了。正直あんまり楽しくないパートだった。
次からまたフォルルートです。まだ書きかけですが、この二人のパートは書いてて楽しいですね。
「そ、そうじゃ! 私は茶でもいれてくるぞ!」
「あ、それなら私が・・・。」
「いいのじゃっ! ベルはアルとでも話しておるがよいぞ!」
そういい残してマロウは奥のほうに走っていってしまった。
ちらっと泣いているように見えたけど・・・大丈夫かな?
「あっ、ちょっと! ・・・はぁ。まったく、姫様ったら・・・。」
少しだけ大げさにため息をついたベルの顔は、なんだか優しいものだった。
マロウのことがよく分かっているんだろうなぁ。
「あっ・・・そうだ、ベルたちもシュピーゲルに反抗してるんだよね?」
「はい、そうですよ?」
「・・・・・・それ、だけ?」
「・・・・・えっ?」
このときベルの顔が、一瞬だけど引きつった。
やっぱり。まだ何かあるんだね?
「・・・なんとなく、勘っていうのかな?
ちょっとだけ、『ベルには』他にも何か理由があるような気がしたんだ。」
「・・・・・勘、ですか。
こういうのは女の方が鋭いと思っていましたが・・・えぇ、そうですよ。」
「・・・聞いてもいい?」
「えぇ。人は多いほうがいいでしょうし。
・・・私には、探し物があるのですよ。」
「探し物?」
「そういえば・・・あなたは『あの』ミッドガルドから来たんでしたね・・・。
どうでしょうか、私も少し聞いても?」
「うん、もちろん。」
「ありがとうございます。
では、あの街の・・・死体はどうなっていますか?」
「し、死体!?」
えっ何まさかこの人誰かの死体を探して・・・・・って、そうか。
フォルの話だと、あの街の人全員が死んだんだよね。だったら多分ベルの大事な人も・・・。
・・・・・・・・・・・・どうする?
だったらまさか本当のことは言えまいて。
『屍人に全員喰われました』なんて言えないって・・・ッ!
いやもう死んでるんだし、それに死体は放置はしておけないし・・・いやでもあの処理方法はどうなの?僕がしたんじゃないけど・・・ってそもそも屍人って信じてもらえるのかな!?
うあああああ!! もうどうすればいいんだろう!?
頭を抱えてうずくまる。ベルが少し引いたような顔していた気がするけど気にしない!
どうしよう、何て言ったらいいの? どうすれば傷つけないの?
考えれば考えるほど分からなくなってくる。
・・・ハッ! そうだ、さっき騙そうとしたけどバレたよね?
だったらもういっそ、本当のこと言ってしまおうか? 信じてもらえるかは分からないけど・・・。
最善の答えはわからないまま。
これは逃げになってしまうかもしれないけど・・・ごめん、本当に分からないんだ。
結局何も思いつかないまま、彼女に真実を告げる。
「死体は・・・もう、みんなどこにもないよ。」
「・・・・・そうですか。まぁ、そうですよね・・・。
どこで燃やされたか、わかりませんか?」
「いや、その・・・燃やそうとも思ったんだけど・・・・・食べちゃったんだ。」
「・・・・・・・・・・・・はい?」
ベルの表情が固まった。
そりゃそうだ、突然こんなこと言われたって・・・。
僕もよく分かっていないけど、なんとか上手く伝えられるように頭をひねる。
「えっと召喚魔法に近いのかな・・・僕の仲間が屍人っていうのを呼び出して、それで・・・。」
「・・・なるほど、そうですか・・・。
あの神話生物・・・食人鬼・・・?
街の住人全員を喰わせた・・・ということは大勢呼び出した・・・?
だとしたらソレは相当な魔力の持ち主である可能性が・・・。」
ベルは小声で何かブツブツと呟いている。少し怖い。
でも・・・まさか信じてくれるとは。意外だなぁ。
やがてベルは「うん」と何か納得したかのように頷くと、僕に向かってお礼を言った。
その顔は、なぜかとても『嬉しそう』だった。




