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実際、土下座されても困るよね

なかなか進まない話。

この世界の人って選択肢を与えてくれないんだろうか。

そういえばフォルもそんな感じだった気がする・・・。


現実から逃避するように、今はもう懐かしいあの思い出に目を細める。

だけど二人がそんなことを許してくれるはずも無かった。

パンッと手を叩いていい笑顔で告げる。



「とりあえず仲間のことについて話しておきましょうか。みんなもうすぐ帰ってくるでしょうし。」


「む? 皆どこかに行っておるのか?」


「そうですね。突然いなくなった誰かさんを探しに行ってしまっていますので。」


「・・・・・・す、すまぬ・・・。」


「あーごめん、とりあえず説明の前にどいてくれないかな? えっと・・・マロウ?」


「むっ? おぉ、そうじゃな。

この体勢では何かと辛かろう。すまなかったの。」



少しだけ申し訳なさそうに誤って、マロウは僕の体から飛び降りる。

僕がソファに座りなおすとマロウは隣に、女の人は向かいのソファに座ってから改めて話を始めた。





・・・って、そうだった。まだこの部屋について言ってなかったね。

この部屋にはオシャレなテーブルをはさんで二つの大きなソファが置いてある。

周りにはこれまたオシャレな置物が置かれていたり、豪華な花瓶に綺麗な花が生けられていたりで、かなりデザイン性が高いものになっているんだよ。


(えっ、もっと詳しく話せって? 

こればっかりは作者のセンスがないから無理じゃないかな? ご想像にお任せします。)





「では、まずは私ですね。

私はベルガモットと申します、ベルとでもお呼びください。

そこの姫様・・・マロウ様の護衛騎士をしておりました。」


「護衛騎士・・・うわぁなんだか強そうですね。」


「実際強かったぞ? ベルは魔法も使えるからの。

槍を持たせたら敵うものはおらんじゃろう。」



あ、そうか。ベルさん青いメッシュが入ってるってことは、魔力が高いのか。

でもフォル見てるからどうしても、ねぇ・・・。


ちょっと反応に困っていると、ベルさんは照れたように笑って続けた。



「そこまでではないですよ。

あと、今集まっている反乱軍の仲間は私たちの他に4人います。

それぞれアンゼリカ、デイル、ルー、ソレルといいます。」


「彼らもとても優秀な兵士だったのじゃぞ。

仲間はベルが選んでおるから安心せい。」


「うん。・・・あっ、じゃあ僕も言った方がいいよね。

僕はアルっていいます。あっ、えっと・・・その・・・」



・・・・・・どうしよう。何て言ったらいいんだろう?

まさか「実は別の世界で勇者やってたんですよ」なんて言ったら僕は精神科を案内されるかもしれない。

だったら何かそれっぽい言い訳を・・・そうだ、旅人とかどうかな!?



「実は僕た、旅人だったんだ・・・(震え声)。」


「・・・本当ですか? なんだか怪しいですね・・・。」


「むっ、ベル! 私を助けてくれた恩人じゃぞ!?」



ベルに疑いの目を向けられてしまった・・・まぁでも、あれだけ言いよどんでいたらしょうがないよね。

一応マロウが擁護してくれたけど、正直それで疑いの目が消えるとは思えない。

疑いを晴らすには、なんとか言いよどんだ理由を説明しないとなんだけど・・・はっ、そうだ!


・・・これ、半分くらいだますことになるから心苦しいけど・・・。

僕は顔を伏せて悲しそうな声で話し始めた。




「ごめんね。本当は言うつもりなんてなかったんだけど・・・。

・・・僕、ミッドガルドから来たんだ。ここにはシュピーゲルがいるって聞いたから・・・。」



すると二人は驚いたように大声をあげる。

あっ、こうかはばつぐんみたいだ!



「み、ミッドガルド!? 

まさか、あの街にまだ生き残りがいたのですか!?」


「うん。僕のほかにもまだ二人いるよ。

僕はその二人と一緒に、三人でシュピ-ゲルを殴ろうとこの街に来たんだ。

でもさっきシュピーゲルの手先に襲われてバラバラに別れちゃって・・・それで、僕はなんとか二人と合流しようと思って街を歩いていたらあの騒ぎ。」


「そうか・・・お主もシュピーゲルに・・・。

それにまだ生き残りが二人も・・・。」



ついには二人も悲しそうにうつむいてしまった。

まぁその・・・本当はあの女の子たち、ニーソクさん目当てに襲ってきたんだけど・・・襲ってくるようになった原因はシュピーゲル特製の薬なんだし、嘘を吐いてはいないよね。




・・・・・・って、んっ!? あれっ、『も』!?

思わず顔をガバッと上げて聞き返す。




「えっ!? 『あなたも』ってまさか・・・!?」


「はい。私たちもシュピーゲルたちに反抗しているのです。」


「アイツらは私の父上たちを殺しただけでなく、もっと酷いことをしているのじゃ。

私も、もう少しで殺されてしまうところじゃった・・・!」



やっぱり。

そう言った二人の手は震えていて、顔は見えないけどとても悔しそうだった。



「お主はあの事件・・・ミッドガルドの悲劇の真相を知っておるのじゃろう?」


「うん。だからこそ、アイツは許せないんだ。」


「そうか・・・。」



マロウは何か理解したかのように頷くと、すぐに僕に向かって頭を下げた。

うぇっ!? ちょっ、ちょっと!?



「本当にすまなかった・・・!

私たちは真っ先に逃げてしまって、守るべき民達には何もしてやれなかった・・・!」


「ちょっ・・・! あ、頭をあげてよ!」



あんな事言っといてなんだけど、僕は実害被ってないんだ!

だからそれはフォルにしてやって・・・なんて今は言えないけど!



「仕方ないよ! 気づいたときには、もうみんなどうしようもなかったんだ。

だからそれは僕にじゃなくて、他の仲間に言ってやって?」


「うぅ・・・じゃが・・・。」


「ね?」


「・・・・・分かった。ありがとう、アル・・・。」



そして泣きそうになりながらマロウは微笑んだ。

・・・ごめんね。でもそれは僕じゃなくてフォルたちに言ってあげて欲しいんだよ。

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