新しい出会い
もうちょっとだけ続くんじゃ。
宿に戻ろうと思ったけど、よく考えたら宿までの道が分からない。
だから、とりあえず僕は大通りを歩いていくことにした。
最初はそこを走ってたんだし、多分このまま着けるよね。
そう思ってしばらく歩いていると、なんだか騒ぎが起こっていたのに気づく。
なんだろう? 気になって、僕は人ごみを掻き分けて中を見る。
するとそこでは、二人の騎士と小さな女の子が言い争いをしていたのだった。
「・・・・・だから、私はそのような者ではないと言っておるだろう!」
「しかしその赤髪、間違いないでしょう。」
「さぁ、私たちと共に来てもらいますよ。」
「っ!? 嫌じゃっ、嫌じゃ離せ! 離さんか!」
騎士の一人が女の子の手を取ると、女の子は嫌そうに抵抗をする。
だけど力の差がありすぎる。これじゃ多分・・・。
どうする?
なんでこんなことになってるかは知らないけど、どうにも騎士たちが悪いように思えてしまう。
じゃあ女の子を助ける? そんなこと、僕に出来るのかな?
えぇい考えてる場合か、とにかくやってしまえ!
僕は前に出ると、女の子の体をぐいっと引いて抱きしめた!
それで騎士達三人は驚いたように僕を睨み付け、周りの野次馬たちも一斉にどよめきだす。
「なっ、お前・・・!」
「・・・この子、嫌がってるじゃないですか。
それとも、騎士ってみんなこういう事するもんなんですか?」
「黙れ! 貴様、誰にモノを言ってるとーーーッな!?
お、お前・・・赤髪だとッ!?」
「・・・・・・お主・・・!?」
僕の髪を見て、三人は驚きの声をあげる。
あっ、そうか。この世界じゃ青と赤の髪は珍しいんだっけ。
もしかして、さっきメイドさんたちが驚いたのもこのせいなのかな?
・・・っていや、今はそんなことはどうでもいいか。
とにかく三人ともこの髪で驚いてるのなら、折角だし利用させてもらおう。
フォルみたいには上手くできないけど、ニヤッと笑いながら騎士に言ってやる。
「・・・まだこの子を狙うつもりなら、遠慮はしませんよ?」
「くっ・・・いや怯えるな!
コイツだってまだ子供だ! 我らが負けるはずは無いッ!」
そう叫んで、騎士たちは腰から剣を抜く。
あっ、やばいコレちょっと想定外だぞ?
僕も一応剣はあるけど・・・うぅ、応戦するしかないの?
冷や汗垂らしていると、女の子が僕の服をぎゅっと握り締めて心配そうに見ていた。
あぁもう・・・・・・・そんな顔、しないで欲しいなぁ・・・。
「我らを敵に回したこと、後悔するがいい!」
「はぁ・・・・・そばにいてね?」
「・・・・・うん・・・っ!」
そっちから襲い掛かってきたんだし、遠慮しなくてもいいんだよね?
女の子を少し離してから僕も剣を抜く。
するとテュールの腕輪が輝いて、なんだか力が沸いてくるような感じがした。
うーん、なんでだろう。いつもより上手く戦えそうだ。
そう思ったとおり、勝負はすぐについた。




