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いつかまた会いましょう

テュール回、最終回。

彼はもう最後まで出てきません。ただ彼には最後、とんでもないことをさせるつもり。

次からはタイトル回収に走ります。まだまだ続くぞアルルート!


「・・・そういえばアル。少し気になったんだけど、いいかな?」


「ん? どうしたの?」



僕らは今、大通りから少し離れたところにある高い場所から街を眺めていた。

この場所は人気が無いのか、僕らしかいなかった。


吹き抜ける風が気持ちいいし、木花があって綺麗だと思うんだけどなぁ。

それにしても気になったことか、なんだろう。



「アルって僕より少し前にここに来たんだよね。」


「うん。あっちからココに来たのは僕が一番最初だと思う。」


「元の世界に・・・こっちに戻りたいとは思わなかったの?」


「・・・・・・思ったよ。

でもこっちで過ごしてるうちに、それ以上に助けたい人ができたんだ。だから・・・、」


「そっか。」



僕が何かを言う前に、テュールは何か納得したように頷いて微笑んだ。

・・・もしかしたら、このときテュールは僕が勇者だって気づいていたのかもしれない。



そうだ。聞きたいことなら僕もあるんだった。

丁度ここには誰もいないし、遠慮なく聞けちゃうね。



「僕からもいいかな。

テュールってもしかして、王子様だったりする?」


「え? うん、そうだよ?」



さらっと何事もないように答えられた。

何と言うか、えっお前今まで知らなかったのかよ、とでも言われてるみたいだ。

いや分かってはいたんだ、なんとなくだけど・・・。


でも、そうなら僕は今まで王子様相手にあんなことしてたワケで・・・。

深く考えるまでも無く、僕は土下座をした。



「申し訳ありまえせんでしたッ! 僕、王子様相手にとんでもない無礼を・・・!」


「えっ、ちょっ、ちょっとアルッ!? 

別に僕そんなの気にしてないから頭を上げて!?

それに、その・・・僕、嬉しかったんだから! ねっ?」


「て、テュール・・・!」



僕は思わず涙ぐむ。うぅ、本当にいい人だ。

こんな良い人が王様だったら、国民みんなは幸せになれるのかもしれないね。




僕は立ち上がって空を見上げた。

・・・・・・・うん、やっぱり早く元に戻さないとだね。そっちの世界も、こっちの国も。

改めてそう思うと、テュールが少し寂しそうに言った。



「・・・じゃあ、僕はそろそろ戻らないと。

みんな心配させてるし、待ってる人もいるから。」


「ッ! ・・・そっか。なんか寂しくなっちゃうね。」



テュールの体がだんだん薄くなっていく。

いや、消えていく、という表現の方が正しいかな。その光景に、僕は思わず目を見開いた。


あぁ、本当にコレで戻っちゃうんだな。

でもまた後で会えるよね。いや、絶対会ってみせる。

だから少し寂しいけど、今は笑って送り出そう。



「仲間さんたちは大事にしてあげてよ?」



僕にはいなかったはずなんだから。

笑いながらそう言うと、テュールも笑いながら返してきた。



「アルだって、大事な人がいるんだろう?」


「・・・まぁ、今はぐれちゃってるけど・・・。」


「ふふっ、それじゃまずは探さないとだね?」



見つかるといいね。

テュールがそう言うと、いよいよ体が透けていく。



「・・・もう、そろそろなのかな。

それじゃアル、またね?」


「・・・うん。

僕もいつか絶対戻るから・・・それまで、待っててね。」



テュールは最後まで笑顔で、僕に手を振って消えていった。

彼がいなくなった途端、急に風が吹いてきてなんだかより一層少し寂しく感じる。



「・・・・・よしっ!」



僕も頑張ろう! まずはフォルたちと合流しなきゃだよね!

僕がそう意気込むと、見計らったかのように鞄の中から電子音が鳴り響く。


一瞬驚いて、中から携帯を取り出して見てみるとフォルからメールが入っていた。

その内容はフォルたちが逃げ切れたこと、二人が今宿屋に戻っていること、ニーソクさんの薬の効果が切れたこと、それと僕らを心配しているものだった。



・・・よかった。二人とも無事だったんだ。

それじゃ僕も宿屋に戻ろうか。

ニーソクさんの効果は切れたみたいだし、ゆっくり急いで・・・でも気をつけて行こう。



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