初めての友達
おかしい、勇者組がホモに見えてきた。
人によってはそれっぽく感じてしまうかもなので、苦手な人はしばらく飛ばしてください。多分これは3回くらいで終わるから!
この展開終わるとやっとタイトル回収に入ります。
今回文が多いです。つまり長いです。許してください。
魔王のバルに続いて、今度はテュールを呼び出してしまった。
どうしよう。しかもテュールって背負っているモノのせいか、何だかすっごい空気が重いんだよね。
・・・まぁ、僕のせいなんだけど・・・。
うぁー、なんだか悲しくなってきた!
罪滅ぼしってわけじゃないけど、テュールにはせめてこっちにいる間だけでも楽しくしてもらいたいよ・・・あ、そうだ!
「よし! ねぇテュール、一緒にこの街を回ろうよ!
何かいいのがあるかもしれないし! 気晴らしにもなるかもしれないしさ!」
「え?」
僕は何かを言われる前に、テュールの手を引いて歩き出す。
行き先? そんなの決まってるわけないじゃないか!
☆
「うわー・・・すごいなぁ。」
その景色を見て思わずため息が出る。
僕らが走って出たのは、どうやら貴族街だったようだ。
綺麗な家だけでなく、色とりどりの草花も街を彩っている。
さっきの場所とは大違いだ。一つの街で場所が少し違うだけでこんなに違いがあるんだね。
僕は一人で感動していると、隣で少し疲れたようにテュールが言ってきた。
「あ、アル。そろそろ手を離して・・・。」
「えっ? あ、ごめん。それより・・・ねぇテュール見てよ、すごいよここ!
僕、こんなの初めて見た!」
僕は自分でも分かるくらい笑っていた。
そして、それを見たテュールも嬉しそうに笑ったのだった。
前に誰かが『笑顔は伝染するものだ』って言ってたけど、あながち間違ってないのかもしれない。
・・・でもよかった、テュールが笑ってくれて。
「・・・ごめんねテュール、重いもの背負わせて・・・。
・・・・・・それじゃ、とりあえずどこかで休もうか! どっかいい場所ないかな!?」
「えっ? ・・・あっ、アル! ちょっと待ってよ!」
僕が最初に謝ったのは、テュールには聞こえなかったかもしれない。
・・・いや、今はまだ聞こえてない方がいいのかもしれないけど・・・。
うぁぁぁぁー! もう! と、とにかく今は休もうそうしよう!
あ、近くに喫茶店があるみたい? よーしじゃあそこに行こう! すぐに! ねっ!?
☆
適当に見繕った喫茶店内も、やっぱりとても綺麗だった。
店に入ると綺麗なメイドさんが笑顔で迎えてくれて、そのまま席に案内してくれる。
案内されたのは一番奥の席で、ソファがすっごくフカフカで気持ちいい。壁には絵画や花が飾ってあって、窓からは綺麗な街並みを見ることが出来る。
すごいなぁと思いながら座っていると、さっきのメイドさんがお茶を持ってきてくれた。
僕にはよくわかんないけど、なんでもコレは相当高級なものらしい。
お金足りるかなって結構不安になったけど、なんとコレはサービスで無料らしい。
その後メイドさんは僕らにいろいろ説明をして、テーブルにメニュー表を置いて戻っていった。
そうそう、彼女は去り際に書いてある値段の半額にしてくれると言い残していった。マジか。
・・・あれ、なんか僕らすっごい高待遇じゃない?
なんでだろう。理由が気になるけど、まぁいっか。さて、どんなのがあるのかな・・・。
そして装飾がされた薄いメニュー表を開いた瞬間、表情が固まった。
それを見て。お茶を飲んでいたテュールが驚いて「ごふっ」と少しむせてしまう。そして落ち着いてから心配そうに訊ねてきた。
「ど、どうしたのアル!? 大丈夫!?」
「いやそっちも大丈夫!?
ってどうしようテュール・・・僕ら今、軽くピンチだよ・・・!?」
「え、えっ? 僕は大丈夫だけど、ピンチってどういうこと?」
「テュール・・・とりあえずこのメニューを見てくれ、こいつをどう思う?」
「あっ・・・・・すごく、読めないです・・・。」
そうだった忘れてた。僕らの世界とこの世界じゃ文字が違うんだった。
ただでさえ僕は文字の読み書きが得意な方じゃないのに・・・どうしよう!?
ちなみにテュールもこれを見た瞬間に表情が暗くなった。
やばいどうしようこっちも大変だ! どうして僕はテュールに心配ばかりさせてるんだ!?
っていうか僕、この世界の貨幣価値もわかんないよ!?
むしろそっちの方が大問題じゃないのかな!?
「失礼します。どうでしょうか、ご注文はお決まりに?」
「「あっ。」」
頭を抱えているとさっきのメイドさんが戻ってきた。えっ、早くない!?
あぁどうしよう、まだ何も決まってないですって言うか僕らそもそも文字が読めないんですごめんなさ
「では・・・とりあえず、紅茶とスコーンをお願いします。」
「かしこまりました。ご注文はそれだけでよろしいのでしょうか?」
「えぇ、お願いします。」
「では、少々お待ちください。」
必死で言い訳を考えるために頭をフル回転させていると、テュールが笑顔で頼んでくれた。
それを聞いてメイドさんは軽くメモを取ると、ペコリとお辞儀をしてまた戻っていく。
す、すごい・・・テュールも困っていたはずなのに、全然そうとは見えなかったよ!?
「あ、ありがとうテュール。
でもどうして頼めたの? ・・・まさか、コレ読めたの!?」
「まさか。紅茶とスコーンは定番だから絶対あると思っただけだよ。」
「そ、そっかー・・・。」
助けてもらっておいてなんだけど、それに僕は苦笑いで返した。
て、定番なんだ・・・? そんなこと、僕は知らなかったよ?
あとスコーンってなんなんだろう? おいしいのかな。
あれもしかしてテュールって上流階級の人だったんじゃ・・・?
そういえばさっき国王様のことを父上って呼んでいた、ような・・・。
・・・って、そんなことよりどうしよう!? コレまだ値段わかんないよね!?
そもそも僕って今どれくらいお金持ってるんだろう!?
さっき半額にしてくれるって言ってたけど、足りるのかな? あー、足りなかったらどうしよう!?
うぁーーっ!
また頭を抱え始めた僕を見て、テュールが突然ふふっと微笑んだ。
むっ、何で・・・って可笑しいとこだらけだもんね。 でもちょっと拗ねちゃうよ?
「むぅ・・・テュール、どうして笑うのさ。」
「ん? あぁ、ごめん。・・・なんだか楽しいな、って思って。」
「楽しいって・・・え、これが?」
「うん。なんだか友達が出来たみたいで。」
「友達・・・。」
僕だって誰かにこういうことをしたのは初めてだ。
正直よく分かってないことも多いし、テュールには迷惑ばかりかけてるけど・・・確かに、なんでか楽しいと思う。
これはフォルやバルたちと一緒にいるのとは少し違うというか・・・あぁいや、勿論あの二人といても楽しいんだけど何ていうか・・・んー、上手く言葉に出来ないや。
あー・・・・・・意識すると、なんだか少し照れくさくなってきた。
そもそもなんで僕だけ心配してるんだ!? なんか心配してるのがバカらしくなってきた!
もうどうにでもなってしまえ!
・・・なんてちょっと投げやりか。とにかく僕は今、この感覚に浸っていたい気分だった。
責任なんて後で二人で考えよう。だから今は、ね?




