従業員は触手好き?
どんなことされたかはご想像におまかせします。
次回が分岐点になるかもです。
外にはたくさんの女の子がいた。
数は従業員さんの言ったとおり10人くらいかな?
フォルはさっき受け取った従業員さんの本を開いて魔法を発動させると、女の子達の足元に大きな魔方陣が浮かび上がった。
でもそんなことはおかまいなしに、女の子たちが一斉に詰め寄ってくる!
「出てきたわね、ニーソク! アンタまた浮気ってどういうこと!?」
「今度という今度は許してなんかあげないわよ! アンタ一体、私を何回泣かせるつもりなの!?
ねぇ、私頑張ってるんだよ? なのに、なんで私を見てくれないのよ・・・ッ!?」
「大丈夫、私は全部わかってるよ。全部その子が悪いんだよね。あなたはちょっと惑わされちゃっただけなんだもんね。大丈夫だよ、私が全部なかったことにしてあげるから。あなたは私さえいればいい、他の子なんていらないんだよね?その子を始末したら、次はこの子たちも消してあげるから心配しないでね?」
うわぁ心配する要素しかない。っていうか今にも何かされそうなのにニーソクさん優先するの・・・?
どんだけ惚れてるんだろうと若干呆れてしまう。
女の子たちの目は死んでいたり、涙が溜まっていたり、光を失っていたり、狂気を感じるような笑みを浮かべていたり・・・いろいろだった。
この目と同じように性格も違うのだろう。ちょっとニーソクさんが可哀想に思えてきた。
そんなことを思っていたら、その女の子たちが宿に入ってきて僕らに襲い掛かろうと、持っていた武器や拳なんかを振りかぶる。
・・・だけど遅い! 僕らに攻撃する寸前に、魔方陣から白い光が溢れ出す!
そして、そこからグワァッと大量の触手が現れた! ・・・うげっ、気持ち悪っ!?
「「「「「ッ!? きゃああああああああああーーーーッ!!!!」」」」
「「触手プレイktkr----ッ!!」」
現れた触手たちはうねうねうねって驚く女の子達を捕まえる。
それはとんでもない早業で、その10人くらいの女の子たちは全員捕まえられてしまった。
そして触手たちは捕まえた女の子たちを次々と・・・・・次、つぎと・・・・うぅ、あ・・・。
だめだごめん直視できない。思わず顔が熱くなって、彼女たちから目を逸らす。
後ろで従業員さんとニーソクさんが興奮したように叫んでたけど、これはよく分かんないからスルーで。
チラッとフォルたちを見ると、フォルたちは若干引いたような顔をしていた。
近くに居たバルと何か話している。あ、お願い僕も混ぜて・・・。
「うへぇー・・・。
こんなのしたの初めてだったけど・・・うーん、そうか。こうなるんだね。」
「・・・なぁ、これ・・・どういう魔法なんだ?」
「・・・・・早い話がエロ本の魔法だね。
今回のは従業員の好みなんだけど・・・・・触手陵辱ものなんだよねぇ。」
「ねぇ、フォル・・・・・この子たち、この後どうなるの?」
「うーん、えっと・・・あー、あの触手に堕とされちゃうみたいだね。
これのエディング条件は『触手に犯される』かな?
だったら多分、この子達これからすっごい従順になると思うよ?」
フォルはパラパラとその本を捲って中身を確認しながら答えてくれた。
それにしても、エンディング条件?
なんかよく分かんない言葉が出てきたけど・・・まぁ今は聞かないでおこうかな。あんまり関係なさそうだし、後で聞けばいいだろう。
そして、そんな僕らの話を聞いておじさんも会話に入ってきた。
おじさんの顔が引きつっていたのは、後ろで興奮しっぱなしの二人のせいだろうか。
「つまりこの譲ちゃんたちはこれからずっと大人しいってわけか?」
「うん。多分、君たちの言いなりになると思うよ。」
「・・・・・なら、逃げるなら今のうちだな。」
「そうだね。
・・・アル君、ニーソク! 逃げるよ! 準備はいいね?」
そう言ってフォルはくるっと振り向く・・・と、途端にものすごく呆れた顔になった。
どうしたんだろう、とつられて僕らも後ろを振り向くと・・・後ろでニーソクさんと従業員さんたち二人が前のめりになっている。あ・・・っ(察し)。
みんなは呆れて何も言えないみたいだ。
・・・・・仕方ない、じゃあ代表して僕が言おうかな。
「ニーソクさん・・・・・・置いていきましょうか?」
「ま、待ってほしいお! これは仕方のない反応でーーーッ!」
「そ、そうですよ! 健全な男子ならコレは仕方のないことでーーーッ!」
「はぁー・・・。
あー、とりあえずそっちは任せる。こっちのバカは任せろ。」
必死に弁明しようとする二人におじさんはため息をつくと、従業員さんの肩をガシッと抱いて黒い影を帯びた笑みを浮かべながらそう言った。
それに従業員さんは小さく悲鳴をあげたけど・・・うん、気づかなかったことにしよう。自業自得と言わざるを得ない。というかフォルに「お気に入りの本を持ってきてくれ」と言われて、なんでエロ本持ってくるのこの人・・・。
正直ほっといてもいい気がするけど、バルがニーソクさんの腕を掴んで走り出した。
それに続いて僕とフォルも走り出す。走ってる途中でフォルが思い出したように後ろを向いて叫んだ。
あ、じゃあついでに僕もおじさんに言おうかな。
「従業員君ー! この本しばらく借りてくねーー!」
「そっちはお願いします! おじさんたちもお気をつけて!」
そう言うと、おじさんは「おぅ! まっかせろー!」と、笑顔で手を振って送り出してくれた。本当にいい人だなぁ。
・・・そういえば、これからは知らない街を走りながら戦うことになるのか。うへぇ・・・。