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さらば村よ

「なぁ、許してくれよ・・・な?スミレだって昨日の宴会で疲れて寝ちゃってたろ?」


昨日の宴会のあと、朝に目が覚めた俺はスミレの機嫌回復に奮闘していた。


「言い訳は無用じゃ。」


だというのにスミレの機嫌は一向に回復してくれない。正直取り付く暇が無い。


「いやな?そりゃ、宴会を断れば話はできたよ?でもあれは断れないだろ?」


行く前にぜひっ!!なんて言われたら断れないだろ。


「でも妾に帰ったら話すと言ったんじゃから話すのが筋ってもんじゃろ?」


頬を膨らまして抗議してくる。


ああ、どうしよう。結構マジで怒ってる。まぁ、確かに2回ほど話すって言ってからまだ一回も話せて無いんだから怒っても当然か。


「ほら、このままじゃ行商人の人来ちゃうかも来ちまうかもしれないだろ?いい加減機嫌直してくれよ。」


そう言った瞬間


「ほほぅ、つまり御主は妾より行商人の方が大事じゃと・・・そういうことじゃな?」


そう言ってスミレはそれだけで人が殺せそうな目で俺を睨んできた。

そういうことじゃな?って言った時のあの目、俺はゴブリンの何十倍も殺気を感じたね。てか、さっきより怒ってね?


「そ、そんなわけないだろっ。俺が大事なのはスミレだよ。うん、1番大事だねっ!!」


このままでは昨日のゴブリン同様あの黒い手、『ダークネスハンド』に潰されるかもしれない。半ば本気で感じた俺はとっさに叫んでいた。


「う、うむ、わかっていればいいんじゃ。わかっていれば」


ん?なんだろうスミレの奴、顔が赤くなってないか?まさか怒りすぎて血圧が上がってしまったとか?


「なぁ、スミレお前なんか顔が赤―――――――」


「!!。と、とにかくジュンの故郷の話は馬車で聞かせてもらうのじゃっ!!」


心配して声を掛けたのだが、最後まで言い終わらない内にスミレに遮られてしまった。


まぁ、熱を出したとかなら困るがさっきまでそんな兆候は無かったし、問題無いか。


それよりも今は許してくれたことの方が重要だ。でも、いきなりなぜ?


「なんじゃ?ジュン、御主は楽しみにしていた妾の期待を裏切っておいて、まさか馬車でも話せないと言うのかの?」


ぐっ、確かに今の俺に拒否権は無い。うーむ、行商人の人に聞かれないか心配ではあるが、細心の注意を払えば大丈夫か。


「ああ、わかった。馬車で話すよ。それじゃあ、もうそろそろ来る時間らしいから外に出ようぜ。」


「今度は約束破るでないぞ?」


はいはい、仏の顔も3度までって言うしな。


外に出てから数分後、馬に牽かれた馬車が村にやってきた。


やってきた行商人はメルギン・オーテルと名乗った。


「贔屓にしてもらってる村を守ってくれたんだ。私は大歓迎だよ。それに大勢のゴブリンを倒せる人材だ、護衛にちょうどいい。」


一緒に町に連れてってくれないか話すとメルギンさんは快く引き受けてくれた。


「ありがとうございます。俺は川原 純といいます。で、こちらが・・・」


「うむ、妾はスミレじゃ。町までよろしく頼む。」


簡単な自己紹介をし、メルギンさんの商売が終わるまで少し待つ。


「旅の方々。少しよろしいですか?」


待っている時、村長のマリガンさんに話しかけられた。


「どうしました?」


なんか持っているがどうしたのだろう?


「これは、少しばかりのお礼です。」


そう言ってマリガンさんは町に行く俺たちに食糧と銀貨4枚そして服を持ってきてくれた。


「そんなっ!いただけないですよ」


見る限り食糧は優に3~4日はもつであろう。そして銀貨4枚、スミレに聞いた話だと銅貨が100枚で銀貨1枚。その銀貨が100枚で金貨1枚らしい。メルギンさんの方を見るとほぼ銅貨を扱っていることから銀貨が高いことが分かる。そして服、質素ではあるが清潔で着心地がよさそう。俺もスミレも別の服が着たかったから助かりはするのだが・・・


「いえいえ、これくらいなら安いものです。」


聞くと今回の様なことを冒険者に依頼するとゴブリンだけなら安いのだが、キングも倒すとなるともっと高くなるとのことだった。


「今回、貴方達はゴブリンのことで気に病んでいましたが、むしろこちらは貴方達に来ていただいて助かったのです。ですから、このくらいのお礼は受け取ってください。」


そう事情を話してくれるマリガンさん。でもなぁ・・・


「受け取ってやったらどうじゃ?ジュン。この場合受け取らん方が失礼じゃぞ。」


・・・うん、それもそうだな。


「それでは、ありがたくいただくことにします。ありがとうございます。」


「お礼を言うのはこちらです。また近くにいらしたらぜひ立ち寄ってください。」


横目にメルギンさんがこちらに向かってくるのが見えた。そろそろ行くのだろう。


「ええ、近くに寄ったらぜひ立ち寄らせていただきます。なぁ、スミレ?」


「うむ、この村は結構気に入ったのじゃ。また来たいのじゃ。」


2人でまた来る旨を告げ、メルギンさんの元へ向かう。


「もういいのかい?」


待ってくれていたのだろう。


「ええ、別れは済ませました。行きましょう・・・町へっ」


そのようなやり取りを経て馬車は村を出たのであった。







「・・・ちゃんと話してもらうからの?ジュンの故郷」


はいはい、わかりましたよ。

今回も切りがいいのでちょっと短めです・・・

次回は町までの道中になります。ではっ!!ノシ

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