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「で、どこに行くんですか?」
食後の茶を飲んでいるとライが何故か聞いてきた。
「取り敢えず料理長に会ってから行こうと思ってたんだけどー。」
食べ過ぎた。だって、美味しすぎ。
ここは朝食が売りなのか、宿は繁盛しているようだった。朝食を食べた旅人達が去っていく。
腹をさすっていると呆れたようにライが見つめてくる。
「取り敢えず…」
ハァ。
「これ見よがしに呆れた顔で溜息つかないでよ」
「考えが浅いのですよ。飛び出せば何とかなると思っている。世の中そんなに甘くありません。」
分かってるつもりだよ。あの城の中が私にとって甘い菓子の中にいるようなものだって。
「ですから、ご一緒します。」
「あーそれはどうも…」
今なんて⁉
コップを落としそうになるところをライがコップを取り上げる。
「一緒に行きます、と言ったんです。」
いや、私何も言ってないけど、は?
ハクハクと口だけが動く。
「さっきから声が出てませんが?」
「あ、はい。」
フッ、顔を伏せ気味にライが笑った。
「どこまで、ついて来てくれるわけ?」
料理長の家までとかいうオチかな。
「無論、地獄の果てまで」